廿七年九月十四日接受 主管 通商局[印]
大臣
次官[印]
廿九年▣月廿▣日▣▣▣▣▣

公第一八二號 受第一二五四號

當館在勤永瀧領事官補大邱ヘ出張ノ上取
調タル事項ニ關シ別紙ノ通リ復命書提
出致候間玆ニ寫一通差進候且ツ右復命
書中記載ノ左ノ事項ニ付テハ

一日本貨幣ヲシテ急ニ完全ナル流通ヲ
ナサシメントスルハ頗ル困難ナルヲ以テ我兵站
部ニ於テ支拂フヘキ人夫賃其他ハ半額乃至
三分ノ二ハ我貨幣ヲ用ヒ他ハ葉錢ヲ混用シ
テ支拂フ義ニ付テハ當地兵站監ニ協議ノ上
當分右樣取計フヘキ旨各地兵站司令部ヘ
電報ヲ以テ通知セシメ又淸國人ノ軍用電
線切斷ヲ計ルモノ之レアル義ニ付テハ兵 站監ヨリ嚴密ナル偵察ヲ盡スヘキ旨各司
令部ヘ電訓方取計タリ

一大邱近傍ニ於テ韓錢供給ノ途ヲ得ル爲メ
我商業者ヲシテ當國人ノ需要品ヲ該地
ニ輸送販賣セシムル義ニ付テハ仮令ヒ
凶年ニシテ多額ノ現錢ヲ貯フルモノ
之レナシトスルモ當夏以來我軍隊通過
等ノ爲メ該地方ニ於テ費消セル金額實
ニ數十萬円ニ上リ居ルヲ以テ一般人民間
ノ融通ハ却テ例年ニ優ルモ劣ルナカル
ヘキヲ以テ當港商估等ニ說諭ヲ加ヘ組合ヲ
設ケシメ金巾其他ノ雜貨ヲ輸送販賣シ新ニ
我雜貨ノ販路擴張ハ勿論從來支那行商者 ノ專握セシ販路ヲモ我ニ恢復シ倂セテ
韓錢供給ノ途ヲ開クコトヽシ目下夫夫着手
ノ筈ニ有之候

一大邱其他ニ於ケル相場表中兵站部ノ參
考トナルヘキモノ之レアルヲ以テ兵站部ニ廻示シ
之ヲ近傍司令部ニ訓示スルコト及ヒ糧餉等
輸送ニ要スル人夫ハ旣ニ各地ニ司令部又ハ
司令部支部ノ設置アルニ至リタレハ自今該
地方ニ於テ雇入レ遞送セシムルコト竝ニ東
學黨ニ關シテハ可及的注意ヲ加ヒ其模樣
ハ時時兵站監ニ通知シ且ツ外國人ニ對
シテハ勉テ便宜保護ヲ▣フルコト等ニ關
シ夫夫兵站監ニ熟議ノ末同監ヨリ各司 令部ニ訓示セリ

右ノ如ク夫夫處分方取計置候此段申進候
敬具

明治二十七年九月八日
在釜山
総領事室田義文[印]
外務次官林董殿

小官義客月二十一日大邱出張ノ命ヲ受
ケ監理署主事金洛駿氏ト同伴翌
二十二日出發梁山密陽淸道ヲ經テ二
十五日午後大邱着四日間同地ニ滯在シ
三十日午前十時大邱發淸道密陽龜浦
ヲ經テ本月二日午前十一時歸館致候依
テ大邱滯在中監司ト協議ノ事項竝
ニ同地及ヒ沿道各地ニ於テ取調ノ事
實別紙ニ具シ玆ニ及復命候也

明治二十七年九月六日
領事官補永瀧久吉
總領事室田義文殿

一 監司趙秉鎬氏ト協議ノ事項

一客月二十五日大丘ニ着スルヤ同日ハ當國大君
主ノ誕生日ニ際シタルヲ以テ監營ニ於テハ
祝宴ヲ張リ近傍地方官ノ來テ宴ニ列
スル者亦尠カラス監司モ頗ル繁忙ノ狀
アルニヨリ刺ヲ投シ置キ翌二十六日午前九
時同行ノ金主事ト共ニ監營ニ赴キ監司
ニ面會ノ上今般我國出兵ノ事由ヲ詳述
シ慶尙道各地ニ於ケル府使郡守竝ニ人
民ノ或ハ未タ其事由ヲ解セサルモノアルカ
爲メ軍隊通行上其他不便ヲ感スル點尠
ナカラサルニ依リ此際特ニ關文ヲ發シ且ツ官
吏ヲ特派シテ各地方官吏ニ曉飭センコトヲ 求メ且ツ新式貨幣章程ヲ示シ中央政
府ニ於テハ旣ニ該章程ニ據リ日本銀銅
貨幣ノ通用ヲ准許セラレシモ地方ニ在リテ
ハ未タ其朝令ノ發布ヲ知ラサルカ爲メ實
際通行ノ道開ケサルニ依リ速ニ人民ニ諭
告シ授受ノ自由ヲ得セシメラレタシト請求
シ監司ハ能ク其事理ヲ解得セリ然レトモ
未タ其筋ヨリ之ニ關スル何等ノ命令ナキ
ノミナラス新政府組織ノ事情等ニ關シ
一モ通牒ニ接スル所ナキニヨリ直ニ各地方
官ニ對シ關文ヲ發シ難シトシ且ツ去七日
着任以來出來得ル限リ補助便宜ヲ與
ヘンコトヲ勉メ尙ホ向後モ引續キ盡力セ ンコトヲ期スル旨ヲ縷述セルニヨリ旣ニ補助
便益ヲ與フルニ熱心ナル以上ハ關文ヲ發ス
ル豈難キコトアランヤ又政府ヨリハ沿道各
地方官ニ諭告スル所アラシムル爲メ旣ニ新任
釜山監理署書記官ヲ京城ヨリ陸行セシメ
タル筈ナレハ速ニ應諾セラルヽコト得策タ
ルヘシト勸ムルモ監司ハ其筋ノ命ニ依ルニ
アラサレハ應諾シガタシト主張スルニヨリ止
ムヲ得ス外衙門ニ問合セ其回答如何
ニヨリ決セラレンコトヲ求メ監司モ之ニ同
意シ別紙甲號寫ノ電文ヲ認メ之ニ
暗號ヲ附シ送リ越シタルニヨリ直ニ大鳥
公使ニ向ケ發電シ置キタルニ越テ二十八 日午前ニ至リ外衙門ヨリ監司ヘ宛テ別
紙乙號譯文ノ回電アリタルニヨリ直ニ
關文ヲ發シ又官吏ヲ特派センコトヲ請
求シ監司モ之ヲ承諾シ關文ヲ起草ス
ルニ至リタルモ其案文タル太タ明暸ヲ欠
キ眞意貫轍セサルニヨリ更ニ數時問談
判ノ末漸ク二十九日各地方官ヘハ別紙
丙號寫ノ關文ヲ全羅忠淸兩道監司
ニ對シテハ別紙丁號寫ノ通牒書ヲ發
スルニ至リタリ而シテ其關文中未タ事理
ヲ盡サヽル所ハ特派官吏ニ於テ十分補述
スヘキヲ約シ東萊府ニ到ルヘキ特派吏ハ三
十日小官ト共ニ大邱ヲ發シ沿道府郡守 ニ對シ詳細懇說シ又聞慶郡ニ到ルヘキ特
派吏モ同日大丘ヲ出發セリ

日本貨幣流通ニ關シテハ監司モ頗ル力ヲ
盡シ府使郡守ヲシテ洞長ヲ招キ懇諭
セシメタレハ追追流通スルニ至ルヘシト雖モ
完全ノ流通ヲ見ルハ急ニ望ム能ハサル狀
況ナルヲ以テ先ツ我ノ支拂フヘキモノハ半額
若クハ三分ノ二我貨幣ヲ用イ他ハ葉錢
ヲ以テ支拂フコトヽセハ人民ヲシテ急劇
ノ變動ヲ起サシムルコトナク終ニ能ク流
通スルニ至ルヘシ

一小官ハ統理衙門ヨリ監司ニ對スル葉錢三
萬兩ヲ調ヘ日本紙幣ト交換スヘシトノ關 文ヲ携帶シタルニヨリ該關文ヲ監司ニ交
付シ速カニ交換セラレンコトヲ請求セルニ監
司ハ之ニ對シ統理衙門ヨリ旣ニ電訓ヲ
受ケタルモ赴任以來未タ數日ナラス且ツ昨
年來地方ノ飢饉ニ加ヘ本年亦旱魃ニ
シテ五穀登ラサルカ爲メ人民ヨリハ租
稅ヲ納付セサルニヨリ三萬兩ノ巨額ハ到底
用辨スル能ハサルヲ以テ一萬兩ノ外調達ス
ル能ハサル旨統理衙門ヘ回電シ置キタレハ
一萬兩ハ調達スルヲ待テ司令部ニ送付ス
ル見込ナリ云云トノ義ナルヲ以テ我ニ於テハ
日日陸ニ河ニ糧餉ヲ輸送スル爲メ當國
人雇入ノ必要アルヲ以テ仮令日本貨幣 能ク流通スルモ葉錢四五萬兩ノ用意ハ一日
モ欠クヘカラス且ツ大邱ハ慶尙道ノ都府
タレハ四五萬兩ヲ得ルハ易易タルヘシト思考ス
ル旨ヲ說キ一萬兩ハ二十七日夕刻ヲ期シ他
ハ一週日內ニ調達セラレンコトヲ申込ミ置キ
タルニ二十七日ニ至リ同日內ニハ到底出來難シ
トノコトナルニヨリ大邱近傍ニ於ケル豪者ヲ探
知シ左ノ十五名

徐聖淑、趙千龍、李石振、馬時伯、李善
行、韓龍宮、崔慶伯、鄭五善、崔致明、
李敏秀、李尙秀、朴德臣、徐仁同、徐
相斗、白雲五
ヲ監司ニ指名シ尙ホ他ニモ數多之アルヘ キニ依リ之等ニ對シ充分ノ懇諭ヲ加フルニ
於テハ忽チ調達スヘシト說キ監司ハ其
額ニ付テハ質言シ難キモ懇諭ヲ加フヘシト
稱シ二十九日午後ニ至リ漸ク一萬兩ヲ調ヘ
兵站司令部ニ交付ノ運ヒニ至リタリ如
此事狀ナルヲ以テ小官滯在中ニハ到底全
額ノ調達ヲ見ル能ハサルニヨリ後事ハ同
地兵站司令官馬屋原少佐ニ委托セリ

韓錢調達ニ付テハ監司モ敢テ力ヲ盡サヽ
ルニアラサルモ着任以來日尙ホ淺クシテ未
タ地方ノ事情ニ通曉セス加フルニ租稅
ノ未納者多ク又富豪者ヲ以テ目スルモ
ノモ其實土地家屋ヲ有スルモノニシテ 現錢ヲ有スルハ甚タ寡キニヨリ獨リ監司
ヲ强ユルモ數萬兩ノ調弁ヲ見ルハ難キコト
タリ然レトモ小官ノ視ル所ニテハ大邱市中ニ
撒布セル葉錢尠ナカラサルニ依リ此際我
商業者ヲシテ組合ヲ設ケシメ金巾其他
當國人ノ需要品ヲ輸送販賣シ其代價
トシテ得タル韓錢ハ之ヲ司令部ニ於テ紙
幣ト交換セシムルニ於テハ一ハ貨物ノ販路
ヲ開キ一ハ韓錢ノ供給ヲ得二者共ニ利
便ナルヘシト思考ス

一洛東三浪間ニ於ケル洛東江川底浚渫其他
ノ件ニ付テハ或ハ特ニ官吏ヲ派シ或ハ關文ヲ發
セシメ監司ヲシテ出來得ル限リ力ヲ盡サシ メ仍ホ將來同一ノ場合起リタルトキハ速ニ
同樣ノ手續ヲ執ルヘキヲ約シ置キタリ監
司ノ發シタル數通ノ關文寫ハ參照ノ爲
メ末尾ニ添付ス

一八月中旬大邱以西五里許ノ間我軍用電線
ヲ切斷セルモノニ對スル處分ニツキ監司ニ談
スル所アリシニ其當時架設隊ヨリ犯罪者ト
シテ七名交付セラレタルモ事實審問ノ上五
名ハ全ク無關係タルコト判明セルヲ以テ放免
シ他ノ二名ハ嚴刑ニ處シ尙ホ向後切斷者
ヲ生セサランカ爲メ地方人民ニ諭示シ左ノ揭
示ヲ各處ニナシタリト()

電線切斷者

鎭營在囚劉仁大刑一次照律
本府在囚都春實刑一次照律

揭示文

日本電線如有傷害、當報營刑配、而不
善守直之該店主、亦施同律之意、自
官令下、則咸須知悉次

又小官大邱滯在中軍用電線切斷ノ爲メ淸
國人三名朝鮮服裝ヲナシ大邱近傍ヲ徘
徊ストノ風評ヲ聞キタルヲ以テ其實否ヲ確
ムル爲メ朝鮮人ヲシテ竊カニ探偵セシメタル
モ更ニ形跡ヲ得サリシニヨリ監司ニ對シ嚴
シク諸方ヲ探索シ捕捉審問セラレンコトヲ
求メ一方ニハ軍用電信局員ニ注意ヲ與ヘ 又將來ノ取締方ニ付監司及判官(大邱領ヲ所轄スル
爲メ判官ヲ置ク)ニ注意ヲ促シ置キタリ

二 大邱朝鮮電報局占領ニ關スル件

朝鮮電報占領ノ原因ニ關シテハ軍用電信架
設技隊隊長吉見工兵少佐ニ就キ聞キアラサ
レハ詳密ナルコトハ知ル能ハサルヘキモ同少佐ハ
洛東卽チ大邱ヲ去ル十四里ノ地ニ駐在スル
ヲ以テ親ク面談スルノ便ヲ得ス依テ同局主
任飯沼技手ニ就テ調フルニ初メ軍用電信
支局ヲ南山麓卽チ朝鮮電報局ヲ距ル
三四丁ノ地ニ設ケタリシカ警護兵等ノ駐
留スルモノアルカ爲メ屋舍狹隘ヲ告ケタルニ依リ
洛東駐在吉見少佐ニ其事狀ヲ具申シ八 月十八日同少佐ヨリ朝鮮電報局借受ノコト
監司ニ談判スヘキ旨電訓アリタルニヨリ直ニ
監司ニ談判ヲ試ミタルモ一應其筋ヘ拜伺
ノ上ニアラサレハ專行シ難シトシ十五日間ノ
猶豫ヲ求ムルヲ以テ其旨吉見少佐ニ回電
シタルニ翌十九日未明同少佐ヨリ兵ヲ率テ
占領スヘシトノ電訓アリタルニヨリ一小隊弱ノ
兵ヲ率テ同局ヲ囲ミ局員ニ退去ヲ促シ
局員ハ一ノ抵抗ヲモナサス器具ヲ收メ速ニ
退去シタルヲ以テ卽日同局ニ移リ引續キ事
務ヲ取扱ヒ舊支局ニハ疾病患者ヲ移シ朝
鮮電報局員ハ城內ニ一局ヲ設ケ二日休業
ノ後執務シ居レリ云云ト依テ同技手ニ對 シ占領ノ結果トシテ朝鮮電信ヲ廢棄ニ
屬セシムルカ如キコトアルニ於テハ各國ニ廢線ノ
通知ヲ與ヘサルヘカラスト雖モ朝鮮電報局員
ニシテ引繼ト執務シ居ルハ幸ナリト述ベ吉
見少佐ニモ其大要ヲ通センコトヲ依禮シ置キ
タリ

又朝鮮電報局ヲ訪ヒ主事金、李二氏ニ面
會セルニ同氏等ノ言ニ依レハ家屋引渡ニ付テ
ハ兩國政府間ニ於テ協議セラレタル結果ナルヘ
シト信シ別ニ不平ヲ抱カサルモノヽ如シ而シテ現
局ハ城內ニ在ル將官廳ナルモノヲ以テ充テタル
モ狹隘ナルカ故ニ大邱以西電信開通ノ日ニ
於テハ亦他ニ移ラサルヲ得サルヘシ云云

三 大邱及沿路地方ニ於テ見聞セル
事項

一大邱ハ元ト人氣陰惡ニシテ日本人ニ對シテモ
往往粗暴ノ擧動ヲナスモノアリ又監營ニ於ケ
ル六百ノ兵士ハ市中ヲ橫行シ動モスレハ外人ノ
妨害ヲナストハ曾テ屢屢聞ク所ナリシカ小官滯
在中觀察スル所ニテハ其人民ハ我兵士及人
夫等ニ對シ亦亂暴ヲナスモノナリ六百ノ兵士
ハ市中ヲ徘徊シ或ハ城門ヲ警衛スト雖モ日本
人ノ通行スル際ニ於テハ共ニ道ヲ避ケ出來得
ル丈便宜ヲ與ヘントスルモノヽ如シ是レ蓋シ先
般我軍隊通行以來大ニ恐懼ノ念ヲ生シ
▣▣▣監司ノ嚴令アルニ由ルモノナルヘシ

一大邱ニ於テ▣…▣大市ヲ開キ諸道ヨ
リ來商スルモノ甚タ多ク隨テ其開市中ハ商
業非常ニ活潑ナリト雖モ其前後ニ於テハ唯タ
地方人民ノ需要供給ヲ充スニ過キサルカ故ニ
商業甚タ繁劇ナラサルモ開城ヨリ來テ常
ニ商業スルモノ少ナカラサリシニ兩三年來ノ凶
作ニ加ヘ本年モ亦一層ノ凶作ナリト稱スルカ
如キ狀況ナルヲ以テ遠來ノ商業者ハ大抵
歸鄕シタリト云フ商業ノ最モ盛ナリト稱スル
南門內鐘路邊ハ寂寞トシテ有力ナル商家
ヲ認メス唯西門外ナル二七ノ市日南門外ナ
ル四九ノ市日ハ稍ヤ盛ナリ今其普通商
品中取調ヘタル物價ヲ擧クレハ(韓錢相場ハ我一円ニ付三百七十 文ナリ)

米上白米 一升 三百四十文
米上白米 同 二百八十文
大麥 上等 同 百四十文
大豆 同 同 百八十文
小豆 同 同 三百二十文
日本鹽 五斗入 六百文
金巾 一疋 二貫六百文
同 同 二貫七百文
同 同 二貫五百文
同 同 二貫七百文
甲斐絹 同 二貫七百文
薪 一荷 百八十文 炭 同 四百五十文
柴 同 五十文

米及麥ハ其數甚タ寡リ又金巾類ハ賣
行多シト雖モ品拂底ニシテ需要ヲ充タスニ
足ラス薪炭ノ如キハ甚タ多キヲ以テ當港
ヨリ輸送セサルモ該地近傍ニ於ケル我陸軍
用ニ欠乏ヲ告クルノ憂ナシ密陽淸道ニ於テ
モ米麥ハ多量ヲ得ルコト難キモ薪炭ノ如
キハ其量甚タ多シ

一大邱附近ニ於ケル農作物ハ旱魃ノ爲メ能ク
生長スルニ至ラス早稻ハ旣ニ熟シ又收穫シツゝ
アルモノアリト雖モ例年ノ比ニアラス晩稻ニ至
リテハ半ハ枯死シ大小豆モ亦昨年ニ比シ二 三分ノ不作ナリト云フ梁山密陽近傍ハ元來
土地肥沃ナル上水利ノ便幾分開ケ居ルヲ以
テ他ノ地方ノ如ク甚シキ害ヲ受ケサルモ蝗蟲
ノ爲メ少カラサル蝕害ヲ受ケ同地方人民ノ語
ル所ニヨレハ農作物一般ハ昨年ニ劣ルモ優
ルコトナク亦凶年ナリト

一本年ハ一般ニ凶作ナリト稱スルヲ以テ各地ト
モ勞働ヲ望ムモノ甚タ多キ有樣ニシテ大邱ノ
如キ一日ノ猶豫ヲ以テセハ七八百人ハ直ニ集
マルヘク又淸道密陽ニ於テモ二三百人ヲ得
ルハ難キニアラスト云フ然レトモ我軍隊通過
以來地方ノ物價俄ニ騰貴シタルヲ以テ人夫
ノ賃銀モ隨テ昂貴シ大邱ニ於テハ一里五 十文タリシニ今ハ七十文トナリ密陽淸道ニ於
テハ二十五文乃至三十文タリシモノ五十文トナリ
タリト云フ

先般我軍隊陸行ノ際ニ於テハ途中人夫ヲ
得ルノ困難ナルヲ慮リ総テ當港ニ於テ雇
入レ請負人ヲシテ京城迠ノ責任ヲ負ハシメ
タリト雖モ途中韓錢ヲ得ル意外ニ困難ナ
リシカ爲メ人夫ノ逃遁スルモノ多ク施テ軍
隊ノ進行ニ故障ヲ生シ又一方ニハ請負人
ノ困難尠ナカラスト聞ケリ其當時ニ於テハ
固ヨリ止ムヲ得サルコトニシテ又人夫モ今日ノ
如ク途中ニ於テ雇使シ得ラレサル事情ア
リシニ由ルト雖モ今日ニ於テ各要地ニ兵站 司令部ノ設置ヲ見ルニ至リタレハ自今人夫ハ
其地方ニ於テ雇入レ順次輸送セシムルトキハ
途中人夫ノ逃遁スルモノナク又請負者ヲシ
テ長途ノ責ニ任セシムルカ如キコトナリ甚タ便
ナルヘシ

一大邱ニ於テハ城ノ東西南北ニ各關門アリ夜ハ
閉ケ朝開クヲ例トセリ然レトモ我電信局司
令部等ノ設置アル際ニ於テ平時ノ如ク開閉
ヲ嚴ニスルトキハ不便尠ナカラサルニヨリ監司ト
協議ノ上兵士ヲシテ立番セシメ全ク閉鎭セ
サルコトヽシ又淸道密陽ニ於テモ同シク協
議シ置キタリ

一大邱ニ居住スル外國人ハ唯タ佛國宣敎 師エピー▣…▣ト氏一人ニシテ氏ハ十八年前
當國ニ來リ各地ヲ漫遊シ五年前ヨリ大
邱ニ駐マリ南山ノ麓ニ在ル朝鮮家屋ヲ
敎會堂トシ專ラ布敎ニ力ヲ盡シ現今
ニ於テハ大邱附近ニ於ケル信徒六七百人アリ
ト云フ氏ハ能ク韓語ヲ話シ亦韓文ヲ能クス
一日氏ヲ訪ヒ東學黨ニ關シ新報ヲ得タ
ルコトナキヤヲ尋ネ又今回日本出兵ノ事
由ヲ語リタルニ日本出兵ノ止ムヲ得サルニ至リ
タル所以ハ前日野津中將ヨリ親ク聞ク
所アリト稱シ盛ニ其義擧タルヲ賞揚シ
又東學黨ニ付テハ全羅道高山ニ一千餘人屯集
シ近傍ニ於テ掠奪ヲ逞フシ吾友人二名ニ對シ苦ムル ハ旣ニ聞ク所ナリシガ今又晉州ニ於テ五六百
名群集セリトノ報ニ接シタルモ唯タ風說ニ
過キサレハ信ヲ措キ難シ云云ト依テ自後之
ニ關スル新報道ヲ得ラルヽニ於テハ同地我
司令部ニ通知セラレンコトヲ望ムト述ベ同
氏モ之ヲ諾シタルニヨリ我司令部ニ於テ其
通知ニ接シタルトキハ早便ヲ以テ當館ニ通知
センコトヲ司令官ニ委賴シ置キタリ

一大邱近傍ニ於テハ近時生牛ノ斃死スルモノ
多シトノ風評アルニヨリ監營官吏等ニ就
キ聞クニ果シテ當夏以來斃死セルモノ旣
ニ數十頭ニ上リタルハ事實ナリト雖モ其
斃死ノ原因ハ不明ナリトノコトタリ然レトモ ▣…▣疫タルハ殆ンド明カナルニヨリ同地兵站
司令部付獸醫ニ議リ事務ノ餘暇ヲ以
テ調査セラレンコトヲ托シ置キタリ

(終)

甲號

外署

日本代理領事談辨內、貴國請援我兵、我
大隊由陸上京、專爲貴國、官民莫曉其意、
轉生疑懼、故自貴統署已派員曉飭沿路云
矣、果不知耶、自貴營卽將此意、一一措辭、發甘
各邑、使官民洞知本事、俾便行軍云云、答以京
關來到前、莫可擅關、領事又示初八日朝紙曰、
銀銅貨幣通行事、已有貴政府稟定、必當
行會矣、亦以此意速飭各邑、俾我錢無礙
通用云云、答曰貨幣未常非交易、至店幕愚
氓、遽爾通用恐未便、且未承京司公文前、姑
不可擅行、知委之意、多般相持、兩件事必稟裁 揆地、深諒指敎、俾爲回答、勿滯立覆仰企▣

嶺官

乙號

外衙門ヨリノ回電

嶺營、屢度關飭、以日兵照料事、尙迷乎、日
本素有友誼、近益敦睦、宣布此意於各邑
可也、銀銅貨幣通行、亦、有朝令、與日幣交
易無妨、而惟紙幣逐日低昂、宜交易、外衙

丙號

各邑了

日本代理領事談辨內、貴國請援我兵、我大
隊由陸上京、專爲貴國、官民莫曉其意、轉
生疑懼、故自貴統署已派員、曉飭沿路云矣
果不知耶、自貴營卽將此意、一一措辭、發甘各
邑、使官民洞知本事、俾便行軍云云、答以京關
未到前、莫可擅關、領事又示初八日朝紙曰、
銀銅貨幣通行事、已有貴政府稟定、必
當行會矣、亦以此意速飭各邑、俾我錢無
礙通用云云、答曰貨幣未常非交易、至店幕
愚氓、遽爾通用恐未便、且未承京司公文前、
姑不可擅行、知委之意、多般相持、兩件事必
稟裁揆地、深諒指敎、俾爲回答、勿滯立覆 仰企之意、電報于外衙門矣、卽到外衙門回
電內、屢度關飭、以日兵照料事、尙迷乎、日
本素有友誼、近益敦睦、宣布此意於各邑可
也、銀銅貨幣通行亦有 朝令、與日幣交易
無妨、而惟紙幣逐日低昂宜交易亦爲置、非
但電飭之、若是鄭重、又此友誼比前益敦、
凡干保護之節、不容少忽、曉飭民間、切勿
疑懼是旀、銅銀貨幣旣有通行之朝令、與
日本銅銀貨幣交易事甚便宜、行貨之節、
招致各洞頭民、使之曉諭於大小民人處、無
或有一民不知、疑眩之地爲旀、甘到日時、先卽
馳報向事、

七月二十九日

貨幣規式抄錄

日本銅貨一錢一箇、當常平錢五分
日本白銅貨五錢一箇、當常平錢二錢五分
日本銀貨二十錢一箇、當常平錢一百分
日本銀貨一圓錢一箇、當常平錢五百分

丁號

送全羅忠淸兩營書

日昨日本代理領事談辨內、貴國請援我
兵、我大隊由陸上京、專爲貴國、官民莫曉
其意、轉生疑懼、故自貴統署已派員、曉飭
沿路云矣、果不知耶、自貴營卽將此意、一一
措辭、發甘各邑、使官民洞知本事、俾便行軍
云云、答以京關未到前、莫可擅關、領事又示
初八日朝紙曰、銀銅貨幣通行事、已有貴
政府稟定、必當行會矣、亦以此意速飭各邑、
俾我錢無礙通用云云、答曰貨幣未常非交
易、至店幕愚氓、遽爾通用恐未便、且未承京司
公文前、姑不可擅行、知委之意、多般相持、兩件事
必稟裁揆地、深諒指敎、俾爲回答勿滯立覆仰 企之意、電報于外衙門矣、卽到外衙門回電
內、屢度關飭、以日兵照料事、尙迷乎、日本素
有友誼近益敦睦、宣布此意於各邑可也、銀
銅貨幣通用、亦有 朝令、與日幣交易無
妨、而惟紙幣逐日低昂宜交易云云、且日本代
理領事來言曰、貴營旣有外署之電飭似
燭、我陸軍來往之節、銅銀貨通行之事、而
忠淸全羅兩道、則亦將有貴外署之飭、然
慮或差晩、先以此往復兩營之意有懇、故
玆仰報 俯諒裁、處之如何、

七月廿九日

貨幣規式抄錄

日本銅貨一錢一箇 當常平錢五分
日本白銅貨五錢一箇 當常平錢二錢五分
日本銀貨二十錢一箇 當常平錢一百分
日本銀貨一圓錢一箇 當常平錢五百分

戊號

各邑了 七月二十三日

日本糧米載運於我民廣船、而已爲來
泊於大邱沙門津頭、方又溯流、移泊於洛東
津次、次第發船、然江水甚淺、難以運船、是
如今二十六日內、堀灘俾開船路之意、日本司
令官來請不已、非不知民情之爲弊、玆以發
甘、別定營軍官下送、到卽本邑初終境江
水淺灘處、雇得夫丁、定將吏、星火深廣掘沙、
以爲今二十六日內訖役之地是矣、事係急迫、
無或踈忽以致生梗是遣、雇價段爲先以
某樣公、錢中計給、成冊修報向事、

一星州一大邱一㭍谷一仁同一善山一尙州

各邑了再飭▣七月二十五日

日本糧米船運持、本邑初終境江淺灘處、今二十
六日內掘沙之意、前有所定限發可是在果、
日本司令官看審堀灘之役次、今方委往、而
別定營軍官、同爲下送、到卽多發役丁、深廣
掘沙、俾便運船、無至滯礙王事之弊、宜當向
事、

一大邱 㓒谷 仁同 善山 尙州

各邑了 七月二十六日

日本糧米裝載於我民廣船、方爲江運、而
三浪以上水淺沙阻、不得運船、是如掘灘以
給之意、日本人來請不已、非不知民情之爲
弊、玆以發甘、別定營軍官下送、到卽本邑初
終境江水淺灘處、雇得夫丁、定將吏、星火 深廣掘沙、俾便運船、無至滯礙王事之弊是
遣、雇價段就某樣公錢中計給、成冊修報
向事、

一密陽 一靈山 一草溪 一高靈
一昌寧 一玄風

龍宮了 七月二十七日

日本代理領事官談辨內、我國人前往龍宮
時、自該邑冷落頗甚、凡事窘跲、實非隣
護之意、是如云云、未知何措處、有此說話是
喩、玆以發甘、從今以往、日本人如或歷入於本
邑、必須款接善待、俾護交隣之誼、無或有齟
齬之端爲彌、若有所求物種、使之商議貿
送是矣、價本段必自行中報價矣、知此另飭 擧行向事、

各邑了 七月二十八日

日本人往來時、各別保護之意、屢有甘飭
是在果、留館代理領事官、抵營談判內、我國
兵丁由陸上來時、不無製礙之端、亦有求請
之事、是如列錄條目、固請依施、而其在交隣
之誼、有不可恝然、故依其條列後錄發甘十分
商度、無或有違誤王事之弊、爲旀至於米
麥及他物買得、與人馬雇用等節、從時勢公
平之意、另飭施行是遣、甘到日時、先卽馳
報向事、

一日本兵丁所經各處、十分保護事

一電信架設及道路修治時、或乏材木、而有 所求請、量其所入幾許株、商議酬給後卽
報事、

一米麥薪炭秣藁許賣事

一人夫馬匹雇役事

一所經店舍兵丁、如欲寄宿、許其止宿事

一廠舍建設垈地、如有求請、而無所拘礙處
許之、而卽報事、

一如有空虛倉庫家屋、隨其請借暫許
借用事、

一東萊一梁山一密陽一淸道一大邱
一㓒谷一仁同一善山一尙州一咸昌
一聞慶