廿七年十月三日接受 主管 政務局[印]
大臣閱了
次官[印]

機密第六十四號通商局長[印]

慶尙道內地ニ於ケル東學黨不穩ノ有樣ハ過日
來追追及具報置候通リニテ或ハ當處近傍
ヘモ該黨員旣ニ入込ミ居ルヤノ風聞有之
候ニ付監理ヘハ嚴重其取締ヲナシ大事
ニ至ラサル樣豫防方再ニ相求メ置候處
去二十七日午後當港兵站監ヨリノ報告ニ
據レハ意外ニモ其前日ニ於テ東學黨ノ巨魁二名
東萊ヘ來リテ府伯卽チ監理ニ面會ヲ求メ監理
ハ彼等ト密談ノ後饗應其他種種ノ厚遇ヲ與ヘ
タリトノ趣ニ有之依テ直チニ信用アル朝鮮人等ヲ
使用シ今朝迠詳細探偵ヲ遂ケシメタルニ全ク
右ハ▣實▣相違▣▣依テ本日正午ヲ以テ別紙▣ ▣▣▣監理▣照會▣…▣
▣▣▣▣▣其處分方ヲ大鳥公使ヘ可及稟
議積リニ有之候右不取敢及報申之▣候間尙ホ委
細ハ別紙ニ就キ御承知相成候樣致度此段申進候
敬具

明治二十七年九月二十九日
在釜山
総領事室田義文[印]
外務大臣子爵陸奧宗光殿

追テ別處東學黨ノ動靜ニ關シ監理署
員ヨリ聞取リタル數項別紙乙號トシテ
差進候右ノ內機張ニ於ケル東學黨ノ動
搖ハ全ク本文兩名ノ巨魁ガ煽動ニ出テタル 事ト存候

甲號寫

第七十八號

以書翰致啓上候陳者或ル正確ナル筋ノ報告ニ
據ルニ我去ル二十六日卽チ貴曆八月二十七日安
東ノ金炳斗及ヒ河東ノ崔達坤ト稱スル東
學黨ノ巨魁二名貴廳ニ至リテ面謁ヲ求メ
候處貴官ニ於テハ之ヲ房內ニ趣キ人ヲ拂フ
テ數時間密話ノ後厚ク饗應セラレ且ツ
去ルニ臨ンテ官馬二匹ト錢二貫文ヲ給セラ
レ兩人ハ同日午後貴廳ヲ辭シ機張ヘ向ツ
テ出發セリトノ事ナリ右ハ實ニ驚クベキ意外
ノ報告ナルニモ係ハラズ本官ハ其事實相違
ナキ事ヲ確メ得タリ抑モ彼ノ東學黨ナルモノ
ハ近來再ヒ各地ヲ起リ單ニ貴國ノ平和ヲ害 スルノミナラズ我兵站部ヲ襲ハントシテ
旣ニ在台封同部副官竹內大尉等ヲモ
虐殺シ其害毒不尠ニ付貴政府ニ於テハ大
邱監司ヘ電令シテ兵士ヲ出シ其鎭撫ニ
盡力中ナルハ貴官ノ夙ニ了知セラルヽ處ニ有之
且ツ該徒ハ旣ニ當地方ヘモ入込ミ居ルベキ
ニ付嚴重搜索其逮捕方ニ盡力シ大事
ニ至ラサル樣豫防サレ度旨本官ヨリモ再應
相求メタル次第ニ有之然ルニ貴官ニ於テハ今
現ニ彼等ノ巨魁ニ遇ヒ▣ニ之ヲ逮捕サ
レザリシノミナラス面會ノ上厚遇ハ與ヘラレ
タルハ如何ナル趣旨ニ有之候哉本官ニ於テ
ハ了解難▣就テハ其次第ニヨリテハ京城我 使ヘ電稟セサルヲ得ズト存候ニ付本日午後
十二時迠ヲ期シ詳細御回答相成度若シ期
限ヲ後レ候ハゝ御說明相成兼候モノト可心得
依テ至急得貴意候敬具

明治二十七年九月二十九日
總領事室田義文
監理釜山港通商事務閔泳敦貴下

乙號寫

聞書()

一全羅各處ノ東學黨ハ舊八月二十七日南原
ノ地ニ於テ大公論ヲ開クニ付集會スヘキ
旨檄ヲ四方ニ發シ旣ニ聚會スルモノ數萬名
アリ各兵器ヲ持シ處處ニ橫行シテ黨外
者ノ財産ヲ强奪スルニ付行路ハ危險ニシ
テ殆ント旅人ノ通行ナキ有樣ニ至レリ

一全羅道雲峰ノ營將ハ兵ヲ要處ニ
派シテ專ラ守衛ヲナシ東學黨ノ慶尙道
ニ入來ラサル樣防塞シ居レリ

一慶尙道晉州ハ前日其管下ニ東學黨蜂
起シタルモ牧使兵使ノ曉諭シテ▣息セリ

一慶尙道宜寧ニテモ民亂起リ官長ヲ逐
出シ屬吏ノ家ヲ燒キタリ

一慶尙道機張ニテモ舊八月廿七日ヨリ各村ノ
人民黨ヲ起シ其伸間ニ入ラサルモノヽ家八
九戶ヲ燒キタリ各村ノ人民之ニ畏レテ悉ク
聚會スル事トナリ舊九月一日官廳ニ押掛ケ訴
ル處アリト云フ