廿七年十一月十二日接受 主管 通商局[印]
次官[印]
▣…▣十一月十三日▣…▣接受

公第二四九號 受第一三五○八號

廣島縣安藝郡仁保島村千四番
地平民漁夫胡井彌太郞ハ全羅道
近海ニ出漁ノ目的ヲ以テ本月十日當港
ヲ發シ同道珍島迠赴キシニ折節風
波荒クシテ漁業ヲ營ム事能ハサルヲ以テ再
ヒ同地ヲ發シ釜山港ニ引返ヘス途中同
十八日飮料水汲取ノ爲メ慶尙道泗川ニ着
船シ同乘組漁夫小谷宇佐五郞ナルモノ
ヲ上陸セシメシニ武器ヲ携帶セル韓
人百余名突然出來リタルヲ以テ同人ハ水
桶ヲ打棄テ周章歸船セシニ尙ホモ右韓人
中ノ重立チタル者十名計リハ跡ヲ追テ該漁 船ニ襲來シ漁夫等ヲ脅迫シテ錢穀ヲ掠
奪セントセシヲ以テ船中ニハ一切右等ノ貯蓄
ナキ旨ヲ告ケタリシニ彼等ハ之ヲ肯セス隈
ナク船中ヲ搜索シ愈愈無一物ナルヲ看破
シタル後始メテ立チ去リ該漁船ハ此ノ危
難ヲ避ケン爲メ直チニ同處ヲ出帆セン
トスル際該暴徒ハ尙ホモ陸上ヨリ頻
リニ同船ニ向ヒ發砲セシモ幸ニシテ一モ
的中スルモノナカリシガ其後陸上ニテハ
頻リニ發砲ノ音饗キ又近傍ノ民家ニ
モ放火シタルコトヲ目擊セリ其後海上
ニテ避難ノ韓人男女數名ニ出逢ヒ其
中ノ張圭房ナルモノニ就キ暴民ノ實 況ヲ聞キシニ該暴徒ハ東學黨ノ一派
ニシテ其數凡ソ二千計リナリシガ二手ニ分
レテ一ハ固城ニ向ヒ一ハ統營ヲ襲フ目的ニ
テ已ニ途中數ケ處ヲ襲擊シ卽今當地
ヲ經過セルモノニシテ明日ハ南海ノ方ニ
進ム由ナレハ成ルヘク南海ニハ寄泊セサル
樣注意スヘシト云ヒタリ而シテ右韓人ト別
レ二里計リヲ駛走シザラント云ヘル島ニ至リ
竊カニ暴徒ノ擧動ヲ窺ヒシニ杲シテ翌
日十時頃二艘ノ韓船ニテ南海ニ渡リ行
クヲ目擊シタリ云云

以上胡井彌太郞ガ實地目擊ノ景況ヲ
歸港ノ上申出タルモノニシテ同地方ニ於 ケル東學黨猖獗ノ一班ヲ窺知スルニ
足ルヘキモノト存候間御參考迠ニ御報
申進候敬具

明治二十七年十月卅一日
在釜山
總領事室田義文[印]
外務次官林董殿