來然後可有反手之道耳埈鎔以兩人之謀告之于大
院君以李之謀爲明確以朴東鎭朴世綱糾合幾十萬
人方且上來耳曰彼且上來則何以爲策鄭曰一邊屯
札于近畿一邊流入于京城都會于鍾路設萬人疏廳
以向日所製文字投之政府照會于各館則非一二人
之事乃十萬人之事又非有害於外國則外國有何言
也遂派統衛營龍虎營摠禦營虎賁衛把守宮闕乃揮
大衆而入尊奉 主上爲上王廢中殿 世子迎埈鎔
卽寶位盡戮開化黨方是自主之政而密派使告淸只
防日後是非而已耳曰未來之時日兵先動則亦奈何
曰使之四散待淸兵之十月間出來合力夾攻斥退日
兵而爲之亦無妨也曰性山皆知之乎鄭曰知之耳先
是燁向余言萬人疏首李容九自願云矣鄭亦曰萬人 
首李容九卽性山之薦云云
右ハ法務衙門ニ於テ李秉輝取調中仝人ガ見
聞シタルコトヲ書認メ差出シタルモノナリ 
明治二十七年十一月四日法務衙門ニ
於テ李秉輝取調筆記拔抄
前略
領事 其方ハ東學黨中ノ一人ナリトノコトナル
カ如何
李 然ラス
領事 然シナカラ京城ノ或人ヨリ書翰ヲ東學黨
ノ處ニ持チ行キシトノコトナルカ夫ニ相
違ナキカ
李 夫レニ相違ナシ
領事 書狀ヲ取次キシハ何回ナリシヤ
李 二回ナルモ一度ハ自分カ持チ行キ其返事
三通ヲ受取リシモ一度持チ行カスシテ警 
務使ニ其儘渡シタルナリ
領事 最初書狀ヲ請取▣▣▣何日頃ナルヤ
李 朝曆八月十三日ニ手紙ヲ賴マレナ▣▣
先方ニ傳ヘシナリ
領事 何人ニ賴マレ何人ノ處ニ渡シタルカ
李 鄭寅德ナル者ヨリ賴マレ朴東鎭ナル者ニ
渡セシナリ
領事 鄭寅德ナルモノハ東學黨ノ一人ナルヤ
李 東學黨ナルヤ否ハ知レサルモ京城ニ來リ
居リソンビノ行ヲナシ居ルモノナリ
領事 書狀ヲ賴ムトキ何ト云ヒシヤ
李 夫レハ鄭ヨリ賴マレタルニアラス自分カ
山訟ノコトニ付許燁ニ依賴シ鄭寅德ノ書 
狀ヲ貰ヒ行キタルナリ
領事 朴東鎭ナルモノハ東學黨ナルヤ
李 東學黨ニテ已ニ捕盜廳ニ捉ハレタルモノ
ナリ
領事 其書狀中ニハ如何ナルコトカ認メアリシ
ヤ
李 其文中ニハ山訟ノコトカ少シ認メアリ尙
此方ヨリ申遣セシコトハ如何ナリシカ速
ニ上京スヘシトノミ認メアリタリ
領事 其書狀中ノ事ヲ其方ハ如何シテ見タルヤ
李 朴東鎭カ私ニ示シタル故知リ得タリ
領事 一昨日法務大臣ノ取調ノ當時東學黨數十
萬ヲ引連レ京城ニ來ルヘシト書狀中ニ認 
メアリシトノ事ナルカ夫レニ相違ナキカ
李 相違ナシ
領事 東徒數十萬ヲ引連レ來ルヘシト申送リシ
ハ何人ヨリ命シタルコトナルヤ
李 鄭寅德ノ書狀ナルモ李埈鎔參判ノ命ヲ傳
フルモノナリ
領事 鄭寅德ノ認メシ書狀ハ東徒ヲ引連レ來レ
トノ李參判ノ命ヲ傳フルナルカ確メ置カ
ン
李 夫等ノ事ヲ認メシ書面ハ私ノ持行キシ書
狀中ニハナク已ニ朴東鎭ノ方ヘ送リシ書
狀中ニ認メアリタルモノヲ朴東鎭ヨリ私
ニ示シタルナリ此書狀ハ李埈鎔ノ親筆ニ 
テ朴東鎭ノ弟某カ上京シテ貰ヒ行キタル
モノナリ
領事 拙者カ聞キタキハ其方カ鄭ヨリ受取朴東
鎭方ニ持チ行キシ書狀ノコトヲ聞キタシ
李 私ノ持チ行キシ手紙ハ先キノ方ハ卷キア
リテ其片端ニ書シアル處ヲ朴東鎭カ示シ
タル處ヲ見シニ所營ノコトハ如何ナリシ
カ速速上京スヘシト認メアリシ故所營ト
ハ何事カト問ヒシニ曩ニ李埈鎔ヨリ送リ
タル書狀ヲ示シタリ
領事 其方カ第二ニ見タルモノハ李埈鎔ノ自筆
ニ相違ナキヤ
李 相違ナシ親筆ナリ 
領事 其方ハ豫テ李埈鎔ノ筆蹟ヲ承知シ居ルモ
ノナルカ
李 夫レハ平日李埈鎔ノ書▣見テ居リマス故
承知シ居リマス
領事 其狀中ニハ如何ナル事カ認メアリシカ詳
カニ申立ツベシ
李 東徒數十萬名不日團束シテ卽速上來スヘ
シトノ文意ナリシ
領事 此書狀ハ何人ニ送リシモノナルヤ
李 朴東鎭ニ送リシモノナリ此者ハ大院君ヨ
リ役ナド云ヒ付ケラレシモノナリ卽チ本
朝曆七月中役ヲ命セラレ東學黨鎭撫ノ爲
ニ行キタルハ名義上ノミニテ其實ハ東學 
黨ヲ集メテ上京セシムル手段ナリ(役ハ主事
何▣官衙ナルカ知レス)
領事 朴東鎭カ主事トシテ宣撫使ニ隨行シタル
モ其實東徒ヲ煽動スル爲ニ行キシトハ其
方何ニヨリテ知リシカ
李 夫レハ東徒ヲ數十萬連レ來レト命セラレ
又行クトノ答ヲナシタルニヨリ宣撫ノ爲
ニ行キタルニハアラズ煽動ノ爲ナリシコ
トヲ知リタリ
領事 夫ヨリ其方ハ朴東鎭ヨリ返事ヲ受取歸京
セシカ
李 手紙三通卽返事ヲ持チ歸リマシタ
領事 其手紙ハ何人ニ送ルモノナルヤ 
李 一ハ李埈鎔一ハ鄭寅德一ハ許燁ニ送ルモ
ノナリシ
領事 其手紙中ニハ何事ヲ認メアリシヤ
李 李參判ニ▣▣▣手紙ヲ見タルニ▣▣便▣
下サレマ▣▣書狀ハ確カニ拜見致シマシ
タ先日御下命ノコトハ三十余萬名ヲ引連
レ二十五六日中ニ上京スル故其前ニ於テ
日本兵▣動クコトカアリテハ容易ナラザ
ル次第故詳細其事情ニ御通知アリタシト
ノ文意ナリシ其日付ハ八月十七日ナリ
領事 他ノ書狀中ニハ如何ナルコトガ認メアリ
シヤ
李 鄭寅德ヘノ返事ニハ李埈鎔ヘノ書狀ト大 
同小異ニシテ其上ニ京城ノコトハ李台朴
令ト相談シテ石庭ノ內事ヲ細カニ知ニセ
ヨトノコトナリシ
李台朴令トハ後ヨリ聞クニ李泰容朴準陽
ノコトナリト云フ許燁ニ宛テタル書狀ハ
細カニ見サリシカ鄭寅德ヘノ手紙ハ確カ
ニ送ルヘシトノコト及石庭(卽チ李埈鎔)ニ送
ル手紙ハ鄭寅德ノ書狀中ニ封シアリ其上
書キハ石庭大人ノ台鑑トアリ竹溪生敬函
トアリタリ竹溪生トハ朴東鎭ノコトナリ
領事 一昨日取調ノ時一通ノ書狀ハ松亭ニ送ル
モノナリトノコトナリ▣▣石庭トハ同一
人ニテ矢張李埈鎔ノコトナルヤ 
李 同シク李埈鎔ノコトナリ
領事 李埈鎔ヨリ朴東鎭ニ送リシ手紙ノ日付ヲ
承知シ居ルヤ
李 覺ヘ居リマセン
領事 今迠取調ヘタルハ其方カ最初ニ依賴サレ
タル手紙ノコトナルカ第二回目ニ賴マレ
タル手紙ニハ如何ナルコトカ認メアリシ
ヤ
李 二度目ノ手紙ハ鄭寅德ヨリ朴東鎭ニ送ル
手紙ナリ
領事 其手紙ニハ如何ナルコトカ認メアリシヤ
李 其手紙ハ警務使ニ出タセシ故見マセンテ
シタ然シ其事柄ヲ聞及ヒタルコトハアリ 
マス
領事 其聞及ヒタル事柄ヲ申立ヨ
李 鄭寅德ヨリ書狀ヲ請取ルトキ同人ヨリ聞
ク處ニヨレハ此手紙ハ東徒ノ上京スルモ
ノ十十萬名ノミニテハ不足故速ニ沃山ノ
モノヲ上京セシムヘシ日兵下去ノ事ハ大
院君ニ於テ頻リニ止ムル方ニ盡力中ナル
モ若シ日兵カ其地ニ行クコトニナラバ東
徒ハ速カニ解散ヲナシ十一月十二月ノ頃
ニナレハ河ノ結氷ヲ竢ツテ支那兵ノ來ル
都合ナレハ協力シテ日兵ヲ擊チ▣ヒ政府
ヲ掃除シテ新主ヲ立▣(比トキ新主トハ何ニカトノ
問ヲナシタルニ之ニハ謹ムヘキ次第ナレハ▣カニ申立ツル事 
能ハス)ントノ文意ナル趣ヲ聞キタリ
領事 李埈鎔ト東學黨ト其他ニモ往復シタル書
狀等ノ事ヲ聞及ヒシ事ハナキカ
李 其他ニ八月二十四日ニ李埈鎔ノ手紙ト鄭
寅德ノ手紙トヲ林璡洙ヲシテ朴東鎭ニ送
ラシメタリ其手紙ヲ自分カ見タル譯ニア
ラサルモ鄭寅德ト許燁ニ聞キタルニハ日
兵京兵ト共ニ下ルトキハ事困難ナレハ速
ニ晦日以前ニ上京セシムベシノ意ナリシ
領事 其他ニ東徒ト書狀ノ往復ノ事ハ承知シ居
ラサルヤ
李 最初ニ朴東鎭カ自分ノ弟ヲシテ李埈鎔ニ書
狀ヲ送リタリトノ事ナルカ其事柄ハ見モ 
聞キモ致シマセナンダカ其後ニ至リ朴東
鎭ヨリ聞キシニ最初朴東鎭カ宣撫使ト共
ニ公州地方ニ出張スル前李埈鎔カ命スル
ニハ公州地方ニ行キ東學黨ハ何程位集マ
リ得ヘキカ取調ヘ來レトノコトナリシカ
バ公州地方ニ行キタル後命セラレタル事
柄ハ大略出來得ルトノ事ヲ申送リタルモ
ノナリト云フ
領事 最早其他ニハ李參判等ト東徒トノ往復ハ
ナキヤ
李 其他ニハ存シマセン
領事 朴東鎭カ自分ノ弟ヲシテ李參判ニ送ラシ
メタリト云フ書狀ノ日付ハ存シ居ラサル 
ヤ
李 夫レハ私ハ存シ居ラサルモ七月(朝曆)末ノ
コトナリト鄭寅德ヨリ聞及ヒタリ
領事 其方カ此處ニ捕ハレタルハ大院君ノ命ナ
リトノ事ナルカ相違ナキヤ
李 大院君ノ命ナリ
領事 如何ナル罪ヲ犯シテ捕ハレシヤ
李 夫レハ私ニ於テ存シマセン
領事 其方カ此處ニ捕ハレシ以來大院君ヨリ申
含メルニハ審問ヲ受クルニ當リ何ニモ知
ラヌト申立テ居ルヘシ然ルトキハ汝ニ何ニ
カ役ヲ與フル抔ノ事ヲ申越シタリトノ事
ナルガ左樣ノコトアルヤ 
李 初メ私カ此獄ニ入ラシメラレタルハ大院
君ノ命ナルモ何カ罪ノアルコトカト存シ
伺ヲ出シタルニ其返事ハナカリシモ九月
四日ノ日ニ此役所ノ主事カ私ヲ招キ汝ハ
何ノ罪アルカト問ハレシ故自分ハ知ラス
ト答ヒシニ許燁トハ關係アルナラントノ
問ヒナリシカハ私ハ許燁トハ山訟ノ事ニ
付彼是往復シタルコトアリ又許燁ヨリ貰
ヒ受ケタル書狀ヲ警務使ニ疑ハレシ廉ア
リシモノヲ差出セシ事モアリタリト申立
タリ其時主事ノ云フニハ大院君カ汝ヲ愛
シ居ラル事ナレバ捕廳ニモ送ラス此法務
衙門ニ留置セシメ置カルヽ次第ナレバ口 
ヨリ出任セニ眞實ノ申立ヲナサス京城ニ
アル人ノ關係ノコトハ一モ申立テス田舍
ノ人ノミノ關係ヲ申立ヌ樣ニスヘシト又
書記カ申スニハ李駿弼カ総テ主謀者ナリ
トノ申立ヲナスヘシ然ルトキハ自分ノ身カ
助カルノミナラス相當ノ役ニモ取立テラ
ルヘシトノ事ヲ申サレタリ
領事 其主事トハ何人ナルヤ
李 某姓名ハ存シマセン頻ハ覺ヘ居リマス其
時主事ハ大院君ノ命令ナリトノ事ヲモ申
シタレハ私ニ於テハ其名ハ聞取ラサリシ
ナリ其時主事ニ向テ私ハ総テ關係ノ人名
ヲ申立テタルト李泰容朴準陽ノ事ニ及ヒ 
シトキハ主事ハ紙ト筆ヲ打捨テ如此コト
ハ認ムル事出來ヌト申サレタリ依テ私カ
書スヘシト打捨タル筆ヲ拾ヒ認メタル次
第ナリ其場ニハ書記モ立合ヒ居リタレバ
此兩人ノ恕リ甚シク其夜中ニモ害セラル
ヽヤノ樣子ナリシカ自分ハ其儘獄中ニ入
リタリ然シナカラ彼等ノ恕リ甚シキ故彼
等ノ樣子ヲ窺ハント考ヒ再ヒ獄ヨリ出テ
主事ニ面會シ先刻李泰容朴準陽ノ事ヲ申
立テシモ自分ノ見タルニモアラス只鄭寅
德ヨリ聞及ヒタル次第ナレハ筆記中ヨリ
削ラレテハ如何トノ事ヲ入タリ此時兩
名ノ主事書記ハ大ニ喜ヒ夫レ故先刻我我 
カ書セル譯柄ナリ早速筆記中ヨリ削ルヘ
シトノ事ヲ申シタリ 
明治二十七年十一月七日法務衙門ニ於テ
許燁取調筆記拔抄
前略
領事 此許燁ヲ知レリヤ
李 知リ居リマス
領事 友人ナルヤ
李 親友ナリ
領事 何ツ頃懇意ニナリシヤ
李 三年間程ナリ
領事 李ノ申立ニ相違ナキヤ
許 李ノ申立ニ相違ナシ
領事 許燁ノ筆蹟ハ知リ居ルナラン
李 知リ居リマス 
領事 星山トハ許燁ノ號ナリト云フ事モ承知シ
居ルヤ
李 許燁ノ別號ナリ
領事 此書ハ許燁ノ自書セシモノナルヤ(此時第四
號証ヲ示ス)
李 許燁ノ筆蹟ナリ
領事 此書ハ如何(此時第五號証ヲ示ス)
李 之レモ許燁ノ筆蹟ナリ
領事 只今李秉輝ノ申立ニヨレハ此書狀ハ汝ノ
筆蹟ニ相違ナキ旨申逑フルモ夫夫相違ナ
キヤ(第四號証)
許 私ノ認メシモノナリ
領事 此書狀ハ如何(此時第五號証ヲ示ス) 
許 私ノ認メシモノナリ
領事 其方ノ手紙ノ中ニ大老丈ト認メアルハ何
人ノ事ナルヤ
許 大院君ノ事ナリ
領事 昨日汝ノ申立ニハ汝ハ東學黨ノ事ニ關係
ナシトノ事ナリシカ此手紙ニヨレハ東學
黨ノ事ニ周旋シ居ルニアラスヤ
許 決シテ東學黨ニ關係セシニアラス其手紙
ノ旨趣ハ已ニ東學黨ヲ征伐ニ行ク兵カア
ル故夫ニ就キ東學黨ハ何時頃京城ニ來ル
カ別ニ其狀況ヲ聞クノ必要アリテ朴東鎭
ニ聞合セタル書面ナリ東學黨ニ關係セシ
書狀ニハアラス 
領事 汝ノ書狀二通トモ其意味ナルヤ
許 二通トモ意味ハ同樣ナリ
領事 二通トモ朴東鎭ニ聞合セタル書ナリヤ
許 一通ハ朴東鎭一通ハ金明鎬ニ送リシモノ
ナリ
領事 一通ハ八月二十五日一通ハ八月二十六日
ナルカ何レカ朴東鎭ニ何レカ金明鎬ニ送
リシモノナルヤ
許 書面ヲ拜見スレハ分リマス
領事 兎ニ角二通トモ惡事ヲナサントシテ認メ
シ書狀ニハアラスヤ
許 二通トモ義兵ト共ニ東學ヲ征伐セントノ
意ヨリ出テタル書狀ナリ然シナカラ東學 
黨ハ屢屢人ノ書面ヲ奪ヒ見ルトノ事故之
ヲ防カントシテ愈愈右樣ノ書面ヲ認メシ
次第ナリ尙又東學ヲ伐ツ爲ニ計畵セシト
キ自作ノ詩迠アリマス
領事 此ノ如ク認メ置ケハ何人カ見ルモ差支ナ
シト考認メ置キシモノナルヤ
許 朴東鎭カ東學黨ノ處ニ行キ居レハ自分ノ
眞意ヲ認メ遣ハサハ東學黨ノ爲メニ東鎭
ノ害セラレン事ヲ慮リ差支ヲ生セサシ樣
ニ認シ次第ナリ
領事 汝ノ申立ハ虛言ナリ書狀ノ末文ニ覽後付
丙ト認メアルニアラスヤ若シ差支ナキ書
狀ナレハ如此事ヲ認メ置ク筈ナシ 
許 曖昧ノ申立ヲナシ許ハ然ラズト答フ
領事 其方ハ此許燁ト親友ナレバ許燁ノ事ヲ申
立ツルニ不本意ナランガ此事ハ國家ノ大
事ナレバ有體ニ許燁ニ關係アル事ヲ申立
ツヘシ
李 必ス眞實ヲ申立マス私カ誓フ所ナリ
領事 其方ハ此處ニ捕ハレシ以來許燁ヨリ手紙
ヲ受取リシコトハナキヤ
李 其事アリ
領事 幾度手紙ヲ受取リシヤ
李 一度ナリ
領事 夫ハ何日頃ナルヤ
李 日ハ覺ヘス 
領事 今日ヨリ幾日程前ナルヤ
李 二十日モ以前ノ事ナリ
領事 其手紙ノ中ニハ何ト認メアリシヤ
李 初メ私ヨリ許燁ニ書狀ヲ遣ハシ其書狀ハ
豫テ親友故互ニ捕ハレノ身トナリシ故慰
ムル爲ノ事ナリ其返事ノ中ニ警務使ヨリ
訊問ヲ受ケタルトキ李秉輝ノ山訟ノ事ニ
付鄭寅德ヨリ手紙ヲ貰ヒ李秉輝ニ渡シタ
ルコト及自分カ朴東鎭ニ送リシ書狀ハ義
兵ト共ニ東學ヲ伐ツ爲メニ送リシ書狀ナ
ル旨申立テ置キタル丈ケナリト私ニ申越
シタリ
領事 許燁ヨリ送リ越セシ書面ノ中ニ相互ニ何 
ニモ申立テサル樣ニスヘシト申遣ハセシ
事ハナキヤ
李 然ル事ナシ
領事 許燁カ東學ニ如何ナル關係アルヤ親友ノ
事ナレハ承知シ居ルヘシ詳カニ申立ツヘ
シ
李 東學黨ニ關係セシ事ハ承知シ居ラサルモ
朴東鎭ニ手紙ヲ貰ヒ吳レタル等ノ事及彼
ト互ニ書狀ノ往復ヲナシタル事ハ承知シ
居リマス
領事 如何ナル事之往復ナルヤ
李 往復ノ事ハ山訟ノ事モアリ第一許燁ヨリ
手紙ヲ遣セシ事ナレハ其書狀ヲ御一覽ア 
レハ分ル事ナリ
領事 此レハ誰ニ宛テタル手紙ナリヤ(此時第六號
証ヲ示ス)
許 朴東鎭ニ送リシ書面ナリ
領事 朴東鎭ト許燁トノ間ニ如何ナル關係アル
ヤ
李 夫レハ私ニハ分リマセン
領事 其方ガ此間許燁ノ處ヨリ取調ノ際何ニモ
云フコトナカレト申越シタル事アリト申
立タルカ夫ハ間違ナリシヤ
李 夫ハ公然ト申シタルコトニアラス自分モ
警務使カ取調タルモ是是ノ事ヲ申立タル
迠ナリ▣前モ如此セヨト許燁カ自分ヲ▣ 
シタル次第ナリ
領事 其方ハ警務使ニ向テ申立タル許燁ノ
陳供ハ充分ニアラスシテ他ニモ關係ノ事
柄アルナラン
李 第一私ニ下リテ參リ朴東鎭ノ返事ヲ持チ
來リシ三通ノ書狀卽チ許燁松亭鄭寅德ト
ニ宛テタル書狀ヲ許燁カ受取リシ後ハ必
ス內情ヲ知ラサル筈ナシ特ニ私ニ書狀ヲ
東鎭ノ處ニ持チ行クトキ此內情ヲ知リ居
ルト云フ事ヲ云ハヽ山訟ノ事ハ容易ニ濟
ムヘシト申シタルコトアリ
領事> 其內情トハ何事ナルヤ
李 李埈鎔鄭寅德朴東鎭等カ東學黨ヲ集ムル 
コトニ付テノ內情ナリ
領事 許燁ハ何故內情ヲ知リ居ルト其方ハ申ス
ノカ
李 朴東鎭ヨリ鄭寅德ニ送リシ書狀モ許燁ハ
見タルコトアリ鄭寅德モ許燁ニ話セシ事
アレハ知ラサル筈ナシ
領事 鄭寅德カ許燁ニ話シタル事ヲ何故其方ハ
知リ居ルヤ
李 夫ハ傍ラニ聞キ居リシ故存シ居リマス
領事 寅德ハ許燁ニ如何ナル話ヲナシ居リシヤ
李 寅德カ早ク東學黨ヲ呼ビ寄スル事ヲナサ
ヽルヘカラスト許燁ニ話シ居リタリ其時
自分モ傍ニ聞キ居リシナリ 
領事 許燁ハ何ト返事ヲナセシヤ
李 夫ハ早ク呼ヒ寄セネバナラヌト申シ居リ
タリ
領事 此話ハ何處ニテナシタル事カ
李 寅德ノ宅ナリ
領事 何日ノ事ナルヤ
李 八月二十日過キノ事ナリ
領事 此書ハ何ノ書狀ナリト思フカ(此時五號証ヲ示ス)
李 私ニハ分リマセン其目的ハ如何ナルヤ許
燁カ相談セシ事ニアラレバ知レス
領事 金明鎬ハ知リ居ルヤ
李 一度面會セシナリ
領事 何レノモノナルヤ 
李 慶尙道ノモノナリ議政府ノ主事ナリト思
ヒマス
領事 其方ハ二度目ニ鄭寅德ノ書狀ヲ受取警務
使ニ差出シタルハ何時頃ナルヤ
李 夫ハ八月二十六日ノ事ナリ
領事 夫ハ一通ナルヤ
李 封中ニ尙一通アリト思ヒマス
領事 別封アルコトヲ如何シテ知リシヤ
李 イジリ見テ承知セリ 
大臣宅ニ行キタルトキモ同シキ事ヲ言ヒ置
キタリ 
二十七年十二月五日李容鎬取調
筆記拔抄
前略
領事 田舍トハ何レニ行ク積リナルヤ
李 私ハ私ノ家ニ宋ハ宋ノ家ニノ積リナリ
領事 各自ノ家ハ何レナルヤ
李 私ハ報恩宋ハ淸州ナリ
領事 其方ト宋廷爕ハ何時ニ田舍ニ行クカ
李 宋モ東徒ノ爲ニ家族ヲ逐ハレ自分ノ家モ
害ヲ受ケ居ルトノ事故其狀況ヲ見ルト共
ニ田舍ニ行ク者ナリ
領事 八月十七日之日ニ宋廷爕ニ會ヒシ▣何時
通ニ▣ヒタルカ 
李 夫ハ十七日ノ朝宋廷爕カ私ノ宅前ニ出立
セント申來リシ故行キタルナリ
領事 夫ハ朝何時頃ナルヤ
李 十時頃ナラン
領事 宋廷爕カ宅門前ニ田舍ニ行カント云フテ
來リシ後如何セシカ
李 夫レカラ共ニ田舍ニ行キタリ
領事 漢江ハ何レヨリ渡リシカ
李 西氷庫ナリ
領事 途中何レニモ立寄ラサリシカ
李 ナシ
領事 西氷庫迠ハ其方宅ヨリ同行セシカ
李 然リ 
領事 誰カ同行セシヤ
李 宋ト私ノ下人各一人ナリ
領事 其方ノ下人ノ名ハ
李 近所ノ人ヲ一時雇タル事故姓名ハ分ラズ
領事 近所ノ人ニテモアリ且其方カ雇入タルモ
ノナレハ姓名ノ知レサル筈ナシ
李 自分ハ荷物モ格別ナリ宋ノ下人ニ賴ム譯
ニモナラサレハ一時雇故姓名ヲ知ラズ
領事 其下人ヲ何ニ迠連ニ行キシヤ
李 烏山洞迠ナリ
領事 八月十七日ニハ何レニ泊セシカ
李 達利乃店ナリ
領事 何時頃同所ニ着セシヤ 
李 夕方ナリ
領事 翌日ハ如何セシヤ
李 翌日ハ水源烏山洞迠來リタリ
領事 宋廷爕ト別レシハ何レナルヤ
李 天安ナリ
領事 其方ハ天安ヨリ何レニ宋ハ何レニ
李 宋ハ淸州ニ自分ハ報恩ニ行ク爲同所ニテ
分レシナリ
領事 同行中後日何レニテカ會ハント約束セシ
事ナキヤ
李 ナシ
領事 京城ニ歸リ自分ハ歸京ヲ待テト約束セシ
事ナキヤ 
李 ナシ
領事 國王ノ命令ナリト三通ノ密諭ヲ宋ニ渡セ
シハ何レナルヤ
李 達利乃店ナリ
領事 其手紙ハ其方自分カ持チ居リシカ下人カ
持チ居リシカ
李 夫ハ京城ニテ約束スルノニ林璡珠ニ達利
乃ニテ合ハントノ事ニテ同所ニテ同人ヨ
リ受取シナリ
領事 林璡珠ト京城ヨリ行キシカ
李 左樣
領事 其方ヨリ林璡珠ハ後カ前ニ同所ニ行キ居
リシカ 
李 夫ハ知ラス
領事 其方ハ同一ノ宿ニ泊セシモノガ後カ前キ
カ知レサル筈ナシ
李 夫ハ前ニ行キシニ相違ナシ
領事 其手紙ヲ林璡珠ヨリ受取リシハ其晩カ翌
日カ
李 夕方受取タリ林璡珠カ之ヲ宋廷爕ニ渡セ
ト云フ故御前カ渡セヨト云ヒタルモ林ハ
御前カ懇意ナレハ渡サレヨト云フ故自分
ヨリ渡セシナリ
領事 宋ニ渡セシハ何時カ
李 其晩ニ直ニ渡セリ
領事 何ト云フテ渡セシカ 
李 何事モ言ハス開封スレハ分ル事ナレハナ
リ
領事 然ラハ宋廷爕ハ何ト云フテ受取リシヤ
李 密諭カ如此ナレハ仕方ナシト云フテ受取
タリ
領事 其書狀ノ密諭ナリト云フ事ハ其方モ知リ
居リシカ
李 然リ
領事 國王ノ密諭ノ大切ナルモノヲ渡ストキ無
言ニテ渡ストハ何事ナルヤ
李 夫レハ宿屋ニテモアリ開封スレハ分ル事
故申述ヘズ
領事 渡ストキ室ニ誰カ居リシカ 
李 誰モ居ラズ
領事 居ラサルナレハ其話ヲナスモ宜シカラン
李 下人カ居レリ
領事 下人トハ
李 林ト宋ノ下人居レリ
領事 宋林等ノ下人居ル處ニテ其方カ大切ノ書
狀ヲ渡スト云フ譯ハナカラン
李 然シ事實夫レニ相違ナケレバナリ
領事 其手紙ヲ其方カ林璡珠ヨリ請取リシハ矢
張其室ナルカ
李 然リ
領事 其方ハ林璡珠ヨリ受取シ上表書ヲ見タル
上渡セシカ 
李 夫ハ封シテアル故見マセン
領事 受取シ儘少シモ見サリシカ
李 然リ
領事 表書ヲ見サリシカ
李 表書ニハ密諭三度トアリシ迠ナリ
領事 其方カ昨日ノ申立ニハ密諭嶺南大小民ト
アリシトノ事ナリシカ本日ノ申立トハ異
ナルハ如何
李 夫ハ初メ表ニハ密諭三度トアリ後宋廷爕
カ開キ見タルトキ昨日申立ノ如ク認メアリ
領事 林璡珠カ其方ニ其書ヲ渡ストキ何ト云ヒ
シカ
李 之レハ密諭ナレハ宋廷爕ニ渡セト申タリ 
領事 林璡珠ハ何ノ爲ニ其所ニ來ルシカ其方ニ
面會スル爲メナラン
李 然リ
領事 林璡珠ト達利乃ニテ合フトノ約束ハ何時
セシヤ
李 八月八日カ九日ノ日ニ十七日ニ合ハント
約束セリ
領事 會フノハ何ノ爲メニカ
李 最初林璡珠ト話ヲナシタルニ日本カ我國
ヲ改革スルト云フケレトモ夫レモ出來ス
特ニ朴泳孝ヲ用ヒントシテ居ル斯ル事ニ
テハ我國ヲ改革シテ吳レルト云フニアラ
ズトノ疑ヲ起シ嶺南三道ニ赴キ義兵ヲ擧 
ケ日本ヲ到底討ツ事ハ出來サルモ各國ノ
法モアル事故各國ニ通知シ談判ヲナサン
ト云フ事ヲ話合ヒタリ夫ノ事カラ田舍ニ
行ク事ニナリタリ
領事 其目的ヲ達スル爲其方ハ如何ノ手段ヲ用
ユル考ナリヤ
李 話合ノ後林璡珠ノ云フニハ國王ノ密諭ヲ
受ケ來リシト云フ故夫ハ容易ノ事ニアラ
サルヘシト云ヒシニ何ニ容易ノ事ナリト
申セリ其後十五日ニナリ其密諭自分宅ニ
持來セリ之レハ田舍ニ行クニ付テハ宋廷
爕ニモ話ス考ヒナルモ田舍ニ行ク前ニ話
シテ漏ルヽ憂アレハ田舍ニ行ク迠ハ話サ 
ザル事ニセリ
領事 密諭トハ誰ノモノナルヤ
李 國王ナリ
領事 如何ナル密諭ナルヤ
李 三南ノ義兵ヲ擧ケント云フ密諭ナリ
領事 其義兵ヲ擧ケ何ニヲスルモノカ
李 各國ニ照會シ日本ノ失ヲ責ントノ考ナリ
シ
領事 各國ノ援助ヲ得テ義兵カ日本ヲ攻メントノ
考ナリシカ
李 各國ノ法モアレハ日本ノ失ヲ責ント云フ
考ナリ
領事 各國ノ法アレハ兵用ユルニ及ハサルヘシ 
李 各國ノ公法モアランカ詳知セサル故第一
義兵ヲ擧クルカ緊要ト考ヒ左樣致シタル
譯ナリ
領事 其密諭ハ林璡珠カ如何シテ得タルカ
李 如何シテ得タルカ實際承知セス
領事 昨日其方申立ニヨルニ國家擾亂ノ際東學
黨討ツヘシトノ事ナリト申立シカ相違ア
ルハ如何
李 私ハ左樣ノ事ヲ申立タル事ナシ初メヨリ
密諭カ東學黨ヲ討テト云フ事ハアラス
領事 一昨日申立ト相違アルハ如何
李 果シテ然ラバ私ノ申立カ間違ナリ
領事 現ニ申立タルニ相違ナシ何故虛言ヲ吐キ 
タルヤ
李 一昨日ノ調書ヲ見タシ(之ヲ示ス現ニアリ)
領事 達利乃店ノ宿ニ一泊セシ後林璡珠ハ如何
セシヤ
李 其後十月十日頃林ハ尙州ニテ自分ト合ヒ
其時言フニハ日本ハ全ク朝鮮ヲ開明ニス
ル者ナリ就テハ東學黨ニテモ討タント申
シタリ其後一切面會セズ
領事 其方モ林璡珠モ田舍ニ赴キシハ義兵ヲ擧
クルテ相違ナキヤ
李 左樣ナリ
領事 其方ハ別ニ密諭ヲ受ケ行カサリシヤ
李 私モ持チ行キタリ林璡珠ニ尙州ニテ會ヒ 
シトキ日本モ我國ニ對シ改革ヲ施シ吳ルゝ
事ナリトノ話ヲ聞キ密諭ノ眞僞ニ疑ヲ抱
キ火中ニ投シタリ
領事 夫ハ何通ナリヤ
李 二通ナリ一ハ嶺南大小民人一ハ負商褓商
トアリタリ
領事 夫レニハ何事カアリシヤ
李 同樣ナリ
領事 夫レハ國王ノ判カアリシカ
李 勿論アリタリ 
二十七年十二月三日法務衙門ニ於テ
宋廷爕取調筆記拔抄
前略
領事 李容鎬ト親シキカ
宋 親シキニハナラス本年ヨリ互ニ知リ合ニ
ナリタリ
領事 關係セシ事實ハ何事ナルヤ
宋 八月十七日ニ李容鎬カ自分宅ニ來リタリ
其時ハ自分ハ田舍ニ出立ノ當日ナリシ
領事 何ノ爲ニ田舍ニ行クノカ
宋 東徒カ多クナリテ自分ノ家內カ東西ニ離
散セ▣ト聞キ夫レカ爲ニ田舍ニ行ク事ニ
ナリタリ 
領事 李容鎬カ何事ヲ云ハレシヤ
宋 寒暖ノ言葉ヲカ▣シタル後話ヲナシタル
迠ナリ
領事 其後何事ヲ話シタルカ
宋 李容鎬カ云フニハ田舍ニ君ハ行クカ君ノ
家ハ何レナリヤト依テ自分ハ報恩ナリト
答ヒタルニ李ハ自分モ田舍ニ行ク積リ故
同行スベシト申タリ夫ヨリ別ニ西氷庫ト
云フ處ニテ李ト會シタリ
領事 其時何事ヲ話シタルヤ
宋 何事モ云ハズ只今年ハ諸方ニ行ク事カ多
ク平壤ニモ行キ見テ來タ事モアリト申シ
タリ 
領事 平壤ニハ何事ニテ行キタリト云フタカ
宋 淸兵ヲ見ニ往キ來リタリト云フタリ
領事 淸兵ヲ見ニ行キタルハ自分ノ好ミニヨル
カ但ハ他人ノ命ニヨリ行キタル事カ
宋 李容鎬ノ云フ處ニヨレバ國主ノ命ニヨリ
タルト申シ居リタリ
領事 何ト云フ命令ヲ受ケ行キタルノカ
宋 國王ノ命令ニヨレハ南ニハ日本兵アリ西
ノ方ニハ淸兵アリ大ニ心痛ノ事ナレハ淸
兵カ幾何居ルヤ又後ヨリ何程來ルカ其邊
ヲ見テ來レトノ命令ナリ
領事 然ラハ李容鎬ハ國王ヨリ親ク命令ヲ受ケ
タルモノナリヤ又他ニ取次ヲナシタルモ 
ノアリトノ事ヲ聞キシカ
宋 詳カニ聞ケ見タルニアラサルモ李ノ申ス
處ニヨレハ親シク命令ヲ受ケ來リシ如ク
ナリシ
領事 平壤ニ行キシ後ハ何事ヲナシタルカ
宋 平壤ニ行キ淸人衛汝貴ニ面會ニ來リタル
トノ事ナリ
領事 汝貴ナルモノカ何人ニモ面會スルカ
宋 中中面會セサリシモ數度請テ初メテ面會
ヲ得タリ
領事 汝貴ニ面會セシトキ如何シテ話シタルカ
宋 筆談ヲナシタリト申居リマシタ
領事 汝貴ニ話シタルハ何事ナルヤ 
宋 淸兵カ何人居ルカ何ノ爲メニ來タノカノ
事ナリシ然ルニ衛汝貴ノ答ニハ貴國ニテ
電報セシ故來リタリ依テ李ハ衛汝貴ニ向
ヒ六月二十一日後ハ電信ハ絶タレシ故其
電報ハ眞實ニアラサルヘシト申シタリ然
ルニ汝貴ハ自分ハ指揮カアリシ故來リタ
リト申シタリ
領事 電報ハ何人カ遣ハセシモノナリヤ
宋 夫ハ貴國大院君ノ電信ナリト汝貴カ申シ
タリトテ李容鎬カ自分ニ話シタリ
領事 電報トハ何事ナルヤ
宋 日兵二十萬來リ大闕ヲ犯シタル故急ニ來
援ヲ待ツトノ意ナリシト云フ 
領事 外ノ話ハナカリシヤ
宋 其外話ナク平壤ヨリ歸リ來リタリト申シ
タリ
領事 李容鎬カ平壤ニ行キタルトキ閔泳駿閔炳
奭等ニ面會セシ事ハナカリシトノ事ナル
カ
宋 此兩名ニハ面會シタリト話シタリ
領事 閔泳駿閔炳奭ニ面會シタルトキ何事ヲ話シ
タルカ
宋 上奏スル封書カアルト閔炳奭カ申シタリ
ト話シタリ
領事 何ノ上書テアリシト李容鎬カ云フタカ
宋 知ラスト申シタリ 
領事 他ニ李容鎬ヨリ話シタル事ハナキヤ
宋 ナシ龍仁ニ行キタルトキ一人ノ下人アリ李
容鎬ニ封書ヲ渡シタリ李容鎬カ其手紙ヲ
持チ自分ニ向テ室內ニ入ルヘシト申シタ
リ夫レヨリ室內ニテ李カ云フニハ困難ノ
事カ君ノ爲メニ起リタリト申スニ付何事
ナリヤト問ヒタルニ國王ノ命令アリト云
フテ私ニ持來リ渡シタリ卽チ之レカ國王
ノ命令ナリト言フテ渡シタルナリ依テ謹
テ之ヲ請取リ見レバ前校理宋廷爕ト表書
ニアリ尙果川ニ到リ開見セヨト認メアリ
自分ハ之ヲ見テ國王カ自分ノ何レノ地ニ
アルカ分ラサルニ之ノ書狀ヲ送ラレ又京 
ニ居ルモノナレハ呼出ニナリタル上親シ
ク命令アル筈ナレハ此手紙受取ル事ハ出
來ヌト李容鎬ニ申入タリ然ルニ李ハ如此
事ハ自分ノ利益ニナル事ニモアラス僞造
スル事ハアルヘキニアラズト申スニ付自
分ハ之ヲ開キ見ルニ密諭前校理宋延爕持
此三度密諭當日發程卽爲致傳上來事トア
リタリ
領事 三度ノ書面ハ何人ニ傳フルモノナルヤ
宋 一ハ沃川宋大臣子ニシテ封書秉瑞ニ一
ハ連山居故金大臣ノ孫敎官金永吉ニ一ハ
魯城居尹進士卽チ尹滋臣ニ傳フルノ三通
ナリ 
領事 李容鎬ニ手紙ニ於▣…▣
ルモノカ
宋 名ハ興福ト云ヒ姓ハ劉カ楊カ兪カ何レナ
ルカヲ知ラス
領事 其下人ノ姿ハ如何ノ體ナリシカ
宋 普通ノ下人ニアラズ
領事 其後李容鎬ト汝ハ同行セシヤ
宋 互ニ別レ李ハ報恩ニ行キ自分ハ淸州ニ赴
キタリ
領事 李容鎬ハ報恩ニ行キタルノミナルヤ
宋 報恩ニハ李容鎬ノ宅アリ同所ニ行キタル
後慶尙道ニ行クトノ事ナリシ
領事 慶尙道ニ何ノ爲メ行クト云ヒ居リシヤ 
宋 矢張此事ニテ行クト云ヒ居リタリ
領事 其後何レニテカ會同セント約シタル事ナ
キヤ
宋 別ニ約束ハナカリシモ京城ニ歸リ自分ノ
歸ルヲ待テト李カ申シタリ
領事 三通ノ密諭ハ夫夫傳達セシヤ
宋 其後鄕里ニ歸リシニ諸事多忙ノ爲メ十四
日ヲ經過スルモ國王ノ命令トアレハ畏レ
多キ事ト存シ魯城ニ行キ尹進士ヲ家ニ訪
ヒタルモ東學黨ノ爲ニ逐ハレ家ニ居ラス
依テ其親族ヲ尋ネタルニ弟一人アルトノ
事故其者ヲ尋ネ尹進士ニ傳フヘキ書面ヲ
渡サントセリ然ルニ兄ニ送ラルヽ書狀ヲ 
私カ請取ルコトハ出來ヌト云フテ又此地
ニハ東學黨ノ爲メ居ル事能ハサレハ一里
余ヲ隔ツル或寺ニ行カレ申シタル故同行
セリ一泊ノ上翌日出立セントシタルニ東
徒カ多ク集リ居ルトノ事ニテ出立スルヲ
得ス打過キシニ東徒カ此寺ニ押寄セ來リ
寺僧ハ逃亡シ自分ハ衣服驢馬竝ニ三通ノ
密諭モ奪取セラレタリ夫ヨリ此處ヲ逃テ
延山ニ行キ金大臣孫ノ宅ヲ訪ヒタルニ此
人ハ八十ノ老人ニテアリシ自分カ其人ニ
向ツテ實ハ傳達スヘキ密諭ハ東學黨ノ爲
ニ奪ハレタリ後月國王ヨリ下ノトキハ其
次第ヲ申上ラレタシト云フタリ沃川ノ宋 
外務次官原敬殿 
日ニ至リ始承▣其局ヲ結ビ別紙第一號ノ通リ各
ル場合ニモ亦之ヲ處罰スル場合ニモ皆ナ事實ト
シハ遺感ノ至リニ又本件審理上最モ困
回會審ノ後ハ病ト稱シテ出廷セズ其
抑東學ナルモノハ今ヨリ凡ソ三十四、五年以前
ノニシテ黨員中ヨリ推擧セラレ一地方ノ敎務ヲ
者ハ皆ナ中央政府ノ當路者ニ向ツテ巨額ノ賄賂
地方ノ民亂ヲ生スルニ至ルモノトス
コト漸ク多キヲ加ヘ終ニ昨年ニ至リ全羅忠淸兩
忠淸兩道ニ起リタル民亂ノ如キハ當初地方ノ貪
目的ヲ達スル能ハザリシノミナラズ却
ズ罰スル所アルベシトテ他人ヲ强迫シ其ノ徒中千
其
ニ執奏セラレンコトヲ乞ヒシニ招討使ハ直
坪ヲ經テ參禮驛ニ到リ募兵ノ本部ヲ此處ニ定メ
淸道公州ニ至リシニ該地ハ已ニ日本兵ノ據ル所
起リタル暴徒ノ巨魁全琫準及其股肱タル孫化仲
軍ハ當國政府ノ依賴ニヨリ牙山ニ於ケル支那兵
鄭寅德朴東鎭朴世綱許燁宋廷爕李容鎬等ヲ各地
特命全權公使伯爵井上馨殿
日昨自雲邊有曉諭文二人下來而非不疑惑然係是所重故
完南宋則因留該庵往來邑村出入無定一自宋來之後諸尹
平世界云云而去招邑內接主受納侤及圖書須臾姜新
知何處去了云云此人亦必向完南探細於其來歷則李
人據南漢以爲聲勢而以此意商確於▣許毋或輕忽
皮以白紙燁見之是時朴準陽騎驢而來坐越房甚密
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