8月12日
●馬嘶劍鳴錄 (承前)

東學黨の組織

東徒を目して一の政黨、不平黨と爲すを休めよ、
彼等實は一の固信的學徒寧ろ宗敎的黨派ピユーリ
タンの下等なる如き者なり、彼等は每日崔先生所
授の呪文を誦し、切に仁義禮智を奬勵す、呪文に 曰く、

侍上帝造化永世不忘萬事知

崔先生の遺言によれば、庚午(今年)七月初一日
(陰曆)雲峯の山中頭流山より仙化の儘(右の先生
が)出現す可しと、ソコデ東徒は之を賴りにして
七月一日を期し、八道盡く蜂起せんと畵策し居る
也、先生が出なかつたら可笑なものサ、

東學黨の儀式、慣例等

我等の質問に答へて、東徒が筆記したるものは左
の如し、

大先生、姓崔、諱濟愚、字性默、號水雲、貫慶州
府、居慶州、甲子春仙化、

道主、姓崔、名時亨、字敬五、號海月、貫慶州府、
居尙州、

各道有大接主、幾十員姓名、煩不記、

各邑又有設接主、一接所率或數百人、百余人、四
五六七十人、各從接主令、接主從大接主令、播在
八路坊坊曲曲、不盡記、

通於六藝者、間有比比、

有志於入學、先於執贄、次告天讀祝文、文有式、

東徒の書狀一二

東徒と我等との間に往復したる書狀頗る多し、左
に揭ぐるものは、我等が淳昌に着して尙ほ鞋を解
かぬ中、金曹監等が携へ來る書なりとす、

會中諸人等、

千萬意外、

貴國大人、枉 駕陋地、驚惶無他、不審諸位大人、
聽鄙國奸臣之誘說、勞軍遠來乎、抑亦有所關事乎、
鄙生以貪官汚吏之剝割民膏、死不得而鳴冤呼訴、
次聚會千余人、向者完營、欲齊聲呼訴矣、不意大 砲亂丸、射殺千余人、至冤極痛之情、呼訴無處、
如此至冤之民、指謂不軏、方伯守令擧兵掩殺、如
此之冤情將向何訴乎、惟在諸位大人令監鑑燭回示、

甲午六月初六日 會生等上書

(未完)