時事新報
明治27年(1894)
1月24日
開城府で反亂
朝鮮京城通信[一月十五日京城發] 開城
府の騷亂 前便旣に報道せしごとく、松都紅
蔘一件より惹き起したる騷亂は一時非常に猛
烈なりしため、ついに在留本邦人の生命、財
産にも及ぶほどに立ち到りしを以って、同地
在留者はことごとく京城、仁川等に逃れ來た
り、事態すこぶる穩やかならざりしを以って、
我が公使館よりは巡査を同地に派出し、實地
の狀況を視察せしめ居れば、近日詳細の事態
を報道するを得べし。また聞く處によれば、
同地在留者の京城に逃れ歸りたる者にして、
早くも財産の損害要償を願い出でんと計畵し
居る者もありと云う。從來我が邦人が當政府
に關する損害要償はその數はなはだ多くして、
兩國の感情、自然面白からざる次第なれば、
今後要償の事に就いては官民共に注意に注意
を加え、間然する處なからしめんこと一般の
希望する處なり。