7月24日
朝鮮政府、大鳥公使の要求を拒否
京城波瀾の詳報[京城七月二十三日午前十
一時十五分特派員高見龜氏發、東京同月同日
午後十時十分着] 第二回要求の拒絶 大鳥
公使が第二回として提出したる要求は、朝鮮
政府極めて無禮なる擧動を以って拒絶したり。
我が公使はもはや朝鮮の官吏を相手に談判す
るの無用なるを悟り、王宮に參內して親しく
國王に奏する所あらんため、今朝を以って宮
中に赴くはずなりしが、これより先、國王、
使を以って大院君を召し、時勢の日に否なる
を以って、君に諮問する所あらんと、その內
意を傳えられたるも、閔族これを聞いて途に
要するの恐れあるより、躊躇して召しに應ぜ
ず、國王はやむを得ず大院君入城の際、日本
兵を以って護衛せんことを、我が公使に請わ
れしを以って、大鳥公使はその護衛兵を以っ
て、大院君を守護し、今朝八時王宮に入らん
とせしに、無禮にも閔族の指揮を受けたる韓
兵、我に發砲して內よりその入城を妨げしか
ば、我が護衛兵も直ちにこれに應じて發砲、
およそ二十分にしてやむ。ここに於いて大院
君は公使とともに無事入城して、國王に謁見
したり。
國王は我が公使從來の要求に對しては厚く
好意を謝し、國王に拒絶の意なかりし事を示
し、直ちに大院君に政務を任ぜられたるにぞ
君も國王の任命を拜受して庶政を攝する事と
なり、當分は王宮中に留り、これより大いに
韓廷の改革に着手するならん。王命を矯め、
權勢を私し、自國の獨立を忘れて、ただその
族勢維持に汲汲たりし閔族は、今後權勢を失
うべし。