東京日日新聞
明治27年(1894)
2月22日
朝鮮政府、出米禁止令を解く
朝鮮輸出米禁止令解除に關する彼我兩國の
交涉談判に就いては、或いは朝鮮政府にして
傲慢不遜の所爲ありと憤り、或いは公使に對
して優柔不斷の行爲ありと罵り、新聞に言論
に喋喋非難を試むるもの鮮なからず、また或
る新聞のごときは、一箇月前より解禁の期日
を予報し、はなはだしきは証據呼ばわりなど
して、しきりに事實を粧いしも、皆誤れり。
元來本件のごときは、直接人民の利害得失に
關繫する鮮なからざるを以って、吾曹は最初
より殊に筆端を愼しみ、公報の到るを俟ちつ
つありしに、旣に前號にもその一端を記せし
ごとく、大鳥公使の談判はついに韓廷の容諾
する所となり、すなわち再昨午後、同公使よ
り我が外務省に宛て、左の吉報を電送し來た
れり。
朝鮮國に於いては、陰曆二月一日、すなわ
ち來る三月七日より出米禁令を解くべき旨、
督弁交涉通商事務より公然通知ありたり。