5月25日
●東學黨の檄文 左に揭ぐるは全羅道茂長の
東學黨が發せし檄文なり 人の世に於て最も貴き
は其人倫を以てなり君臣父子は人倫の大なるもの
君仁に臣直に父慈に子孝にして然る後乃ち家國を
成し能く无疆の福に逮ず今我聖上仁孝慈愛、神明
聖睿、賢良正直の臣、賢を翼け明を佐れば則ち堯舜
の化、文景の治、日を指して希ふべし矣今の臣た
るもの報國を思はず徒に祿位を竊み聰明を掩蔽し
意に阿り容に諂ひ忠諫の士これを妖言と謂ひ正直
の人これを匪徒と謂ふ內に輔國の才なく外に虐民
の官多く人民の心日に益す渝變、入ては資生の業
なく出ては保軀の策なく虐政日に肆に怨聲相屬す
君臣の義、父子の倫、上下の分、墮壞して遺すな
し矣、管子曰く四維張ちざれば國乃ち滅亡すと方
今の勢ひ古より甚しきものあり矣、公卿より以下、
方伯守令に至るまて國家の危殆を思はず徒に己を
肥し家を潤すの計に切にして銓選の門、視て生貨
の路と作し應試の▣、擧て交易の市と作す、許多
の貨賂、國庫に入らず反つて私藏に充ち國に積累
の債あれども圖報を思はず、驕侈淫呢、畏忌する所
なし八路魚肉、萬民塗炭、守宰の貪虐、良に以ある
なり之を奈何ぞ民窮し且困まざらんや、民は國本
たり、本削らるれば則ち殘す、報國安民の方を念
はず、外卿第を設け惟だ獨全の方を謀り、徒に祿位
を竊む豈その理ならん哉、吾徒草野の遺民と雖も
君土に食ひ、君衣を服す國家の危亡を坐視すべか
らず、八路同心、億兆詢議、今義兵を擧げ以て公に
報じ治國安民、死生の誓を爲す、今日の光景驚駭
に屬すと雖も、切に恐動する勿れ、各その業に安
んじ共に昇平の日月を視し咸く聖化に沐せば千萬
幸甚