6月12日
●朝鮮事件と對外硬派(同
上) 朝鮮事件將來の形勢如何に由りては或は
國際問題を惹起さんも測られざれば今日之が計を
なし置くは無用の事にあらずとて改進、革新、國民
元大日本協會、中國進步、政務、硬派中立の各派に
ては過日東京ホテルの交涉會に於てなしたる決議
に基き朝鮮獨立保護の方法に就きて目下種種運動
し居れり尤も此事たる無論國家問題なれば各派と
も意見を同じくする時は其黨派如何を問はず一致
の運動をなさん筈なり
●朝鮮內亂と日本政府(十
一日午後三時三十一分東京發電) 朝鮮內亂に
就き我國の出師は公使館領事館居留國民の保護の
爲なるは已に政府の明示する所なり之に反して淸
國の朝鮮に軍隊を派遣せしは世說の如く朝鮮政府
より內亂平定の依賴ありしに由るか或は朝鮮を屬
邦視して內亂を平定せんとするに由るか之を明か
に知るを得ば兎に角多數の兵を派遣し內亂平定の
任を負ひしは事實なり而して內亂平定の後は多數
の兵を駐めて如何に朝鮮政府に對するか從來屬邦
視して往往外人をして奇異の思をなさしめし事よ
り考ふれば或は暴慢非道の事なきを保せず我は隣
邦の好誼を以て朝鮮を獨立と認め且米國に紹介し
て遂に歐洲各國認めて獨立となせしまでに誘導し
たる今日なれば假令淸國が如何なる事情よりして
も假りにも屬邦視せん傾向あらば我は斷然此際淸
國に交涉して獨立を表明するに至るべしといふ
●東學黨(十一日午後三時五十六分東京發電) 去八日京城發
の電報に『昨夜京軍長城に逼る黨軍戰はずして全
州に走り籠城せる兵と合して敢て出でず京軍屢屢
戰を挑むも顧みる所なし李氏及び玄氏は今日(卽
ち八日)出發全州に向ふ』とあり
●京城戒嚴(同上) 九日發の釜山來電に『朝鮮政府
は黨軍の進入を防がん爲興仁、崇禮の二門に守兵
各六十人を置き出入の內外國人を嚴密に取調べ居
れりマギクべキサン五箇所の烽臺に於ては烽烟を
揚るの準備をなす京城一圓商業全く息む』とあり