6月19日
●危機 我師旣に韓京に入りて內地各師團亦戒
心あり事局果して如何にか變ずべき人人手を額に
して西天を望みつゝあり夫の東學黨は今頃何狀を
なす我兵の上陸後絶えて聞えるなし依然州郡を橫
行するも韓廷に於て深く之を祕して勝敗を外間に
漏さゞる乎將た東學黨も朝鮮流にて氣長く此邊で
先づ一服と云ふ調子なる乎サツパリ分らず然れど
も今回の事表面は兎もあれ其實は我邦と淸國との
對抗運動なり黨軍の盛衰など固より關する所にあ
らず而して我兵旣に京城に駐屯す他より何等の談
判を受くるも故なく撤退すべきにあらず淸兵も亦
我兵の京城にあるを觀て悄悄引退すべしとも思は
れず彼後繼の到着するを待ちてノソノソ入京せん
乎危機の伏する所玆に在り