6月12日
●軍隊旅費 今回朝鮮國の變亂に付き公使館領
事館及び居留民保護の爲め派遣する軍隊の旅費は
總て行軍旅費と同じく將校下士卒皆平等にして更
に異るなく且つ其金額は頗る少額なりと云ふ
●岡本▣之助氏 は元と陸軍砲兵少佐たり先頃
金玉均死體處分委員として上海に航し間もなく歸
朝して其始末を報告し再び朝鮮に渡航したれど其
後行方知れずなりぬ玆に於て東學黨に加入したり
との說起れり
●田中侍郞 東學黨の指揮官なりと風說せらる
る田中侍郞の人となりを聞くに氏は群馬縣前橋の
人にして士官學校を卒業したるの後早く大尉に進
み監軍部副官となり一時は前途望みありし人なれ
ども兎角品行修らず軍人たるの威嚴を保つこと難
しとて免官となり頗る窮迫を極め或時東京▣テル
の▣人にまでなりたれど曾て學びたる外國語を利
用し或機會に乘じて朝鮮に渡り深く內地に入込み
商業に從事しつゝありしなりと云へり
●朝鮮公使の電報 去九日の正午頃朝鮮公使は
三百言に餘る長文の電信を本國政府に發したる由
●朝鮮の民喜ぶ 朝鮮の農工商民は平素奸臣虐
吏の暴徵を恐れて餘財を浪費するの弊ありしが今
回の事變起るや喜んで其私財を東賊に贈り以て閔
の政府を顚覆し財産の安固を計んとし居ると云ふ