7月7日
●谷子の朝鮮意見 は政治家として今回政府が
爲したる處置に不同意なること東方協會の一員と
して副嶋伯等と同じき者の如し谷子は曰く出師の
事初より其事情を審にせずと雖ども世上傳ふる
所によれば唯東學黨蜂起の爲め居留邦民を保護す
と云ふのみ斯る事は軍國の方より見れば一常事に
過ぎず二三艘の軍艦を派遣すれば足れり天津條約
に基くとするも大兵を動すべき時と思はれざるな
り予は局外者として政府部內の▣▣を與り知ら
ざる者として唯だ牛刀割雞の擧とのみ看過し寧ろ
其引揚の困難を感ずべきことを政府の爲に杞憂し
たりし位なり予は此出師に就きて初より政府に同
情を有せず又其無事引揚に至るべきを豫想したり
云云と然れども子は赳赳たる護國の軍人として其
本職を知る者なり其言に曰く予は軍職に在る者な
り外交上現內閣と意見を異にするも旣に出師して
事端を啓くに至らば何時にても徵集に應じて職に
就かざる可らず元來國際の問題は事急なるに及び
ては復た其起因の是非を問ふに▣あらざる者なる
に於てをや昔し佛國の那翁三世が普國と兵を搆ふ
るやチエールの徒は皆初より其非策を痛言せりと
難も事急なるに及びてや彼等軍人に非るも進みて
兵馬の難に當り能く善後の策を立てたるに非ずや
況んや軍人たる余に於てをや云云と