11月2日
◎東學黨 目下の東學黨は昔日の如き確乎たる
目的なし卽ち閔族を除くべし弊制を改革すべしな
ど云ふ立派なる申込を爲すものにあらずして實に
狗盜の徒浪士の集合體のみ彼れば酒店に闖入して
酒を飮みちらし富家に押入りて金穀を奪へり然る
に地方官たる者能く之を制壓するなく此徒押寄來
れば逃亡して彼等が爲す儘に委せり日本兵之れを
遂ヘば則ち散し止むれば則ち集る飯上の蒼蠅と一
般なり夫れ唯だ烏合の衆のみ日本兵百人もあれば
彼等の一萬人に當て尙餘りあるベし左れど容易に
首領を認むること能はざりしが余の出立前一首領
を生擒したりとの報ありたり
◎日淸交戰に就て韓民の意向 日淸交戰以來皇
軍の向ふ處前に敵なく恰かも疾風原野を捲くの慨
あり向後の事局復た知るべきのみ然るに韓民の七
八分は支那の戰捷を信ずるものに似たり故に日軍
の勝報傳はると雖も彼等の多數は容易に信ずベく
もあらず濱く地方官よりの通報に依りて▣てはと
驚愕するのみ穿ちて云へば日本の勝利を喜ばざる
者多し自國獨立の義戰を見る猶ほ斯くの如きもの
あり一斑を見て全斑を推すべきなり實に呆然たら
ざるを得ざる始末なり