○全羅魁首の命令
全羅に於ける東學黨の首魁たる崔法軒は一編の訓令を黨中に
傳へたるが其大要に曰るあり我九隊の陣及び二百の黨員岐路
の軍兵は▣きに能く地の利時の可不可をも察せずして輕輕し
く羅州の境に進入し負褓等の烏合の軍勢のために打ち敗られ
味方の黨員二十餘名は之がため彼等の捕子となるに至り我黨
の不面目此の上やあるべきされば我が命令に違背したるとこ
ろの岐路の諸將は軍律に照して之を斬罪に處し夫夫處分をな
すべし又今より軍を分て三路に進み羅州の地に入ることは暫
くこれを待つべし而して第一路の將は本府部下五千を領有し
第二路の將も亦た同しく本府の部下五千を引具し共に陣營を
置き第三路の將は更に本府部下五千を督して四方に派出し各
將妄りに輕擧をなすことなく山城を堅守せよ云云の命令を下
せりといふ