○現任堂上官
現任朝鮮の中央政府及八道に於る顯官は左の如
中央官 八道監司 右の內忠淸監司趙秉鎬は變亂のため逃走し全羅監司金鶴鎭は 京城に四寨あり曰く廣州曰く▣川曰く江華島曰く開城府とす
領議政 沈舜澤 右捕將 李鳳儀
左議政 趙秉世 扈衙使 金煥使
右議政 鄭範朝 統衙使 閔泳駿
吏判書 閔▣▣ ▣…▣
戶判書 朴定陽 壯衙使 李鐘健
兵判書 李承吾 總御使 韓圭咼
刑判書 李正魯 海軍統制使 憫
禮判書 洪鐘軒 總制使 憫
工判書 金鶴鎭 郵電總辨 趙秉稷
外督 趙隶
內督 憫
左捕將 申正熙 轉運總務官 趙弼永
京畿監司 金圭弘 慶尙監司 李▣直
忠情監司 趙秉鎬 平安監司 憫
全羅監司 金鶴鎭 黃海監司 洪淳馨
江原監司 閔亭植 咸鏡監司 朴箕陽
前監司金文鉉の逃走後新たに命ぜられたるものなるも變亂の
ため任所に赴くことを得ず難を他に避け居れりと又右中央官
にて最も勢力あるものは統衙使兼經理使たるの閔泳駿にして
苟も地方官たるを欲するものは先づ閔泳駿に賴らざるべから
ざるを得ざるものゝ如し實に朝鮮に於る閔氏の跛扈專橫を極
むる筆紙の能くつくすところに非ず一門富貴榮華を極め殆ど
閔氏に非れば人に非ざるが如きのありさまなりといふ而して
全國八道の監使以下留使府使牧使縣監等に至る地方官の總數
大略三百名程にして此內百六十名以上は閔氏の推撰に係るも
のなるよしなれば閔族の勢力如何に韓廷に▣梁を極むるかは
推して知るべきなり
此四寨には常に留守と稱する朝官駐在し居ることなるが東學
黨の京城に攻め入らんとするには其大手なる前記の四寨の中
廣州(京城を距る日本里程五里)竝に此地に竝へたる水原を破ら
ざれば侵入すること能はざる趣きにて此兩塞は要害なかなか
に堅固なれば容易に攻め入ること能はざるべしといふ