○牙山の地理
今回淸兵が上陸したりといふ牙山の地位を案するに忠淸道の
西北岸京畿道に近き灣內にあり先年支那軍艦一とたび之に入
港したることあれども船舶等の常に入港するところにはあら
ず今度淸兵の此の地に上陸せんとするは東學黨の京城に向て
進軍するの要路を塞ぐに便利なるがためなるべしといふ此地
は京城を距ること几
城に進むには平澤振城果川等を經て漢江を渡るものにして進
路は國中の最も好ところなれども到るところに小山あり殊に
果川と漢江の間には小勢を以て大衆を防に足るべき要害の山
あり次に廣江は河幅一町餘もあり而して京城に續く岸邊は廣
き砂地なるが故に渡し舟をとりさりて守るときは容易に兵を
渡たすこと能はざるべしと先づ韓國內險要の地なりといふべ
し