日淸交戰錄
1號 日淸交戰錄發刊の主趣
東洋の一大禍機は破裂したり。鴨綠江の畔。渤海灣の外。日本陸海
の大軍已に之に臨む。是れ此戰や堂堂大日本帝國の戰にして。東洋
興廢の繫る所。決して一時の私忿に出でたる戰に非ざる也。
神功の征韓。豐太閤の征明。其迹。炳焉として千古を照らすものあ
りと雖。我 皇の赫怒。國民の公憤に發して。堂堂正正。萬里外
征の大師を興せるに至ては。則ち今日を以て始と爲す。其名正。其
義嚴。而して三軍の勇敢。戰陣の熟練。隊伍の整齊。器械の精銳な
るを以て。戰へは必ず勝ち。攻れば必ず取り。向ふ所前無く。終に
大捷を制せんこと。日を刻して待つべき也。
然りと雖。大日本帝國の戰は。大日本帝國國民を擧て王の愾に敵せ
ざるべからす。愛國の大感情を鼓舞して。兵の氣を興さゞるべから
ず。是れ國民の本分也任務也。
朝鮮の獨立を護するは世界の公道也。淸國の暴橫を征するは。天下
の正義也。我帝國は公道と正義とを楯として以て敵に臨む。之を以
て斃れて後已むも亦一國の名譽を失はず。況んや我兵の勇武なる百
戰百勝。淸京を擧ぐる。其豫じめ期する所たるに於てをや。
吾人。爰に日淸交戰錄を發刊する者。一は以て國民をして此戰鬪の
東洋の興廢如何に關する所以を知らしめ。一は以て國民愛國の大感
情。敵愾の大精神を鼓舞作興し。其本分を竭さしめんとするに外な
らず。而して吾人も亦誓て帝國臣民たる任務を竭さんことを期する
者也。